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CD化から22年、リマスター盤が初登場

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21世紀の音でよみがえったビートルズ
CD化から22年、リマスター盤が初登場(1/3ページ)

EMIミュージック 「ザ・ビートルズのリマスター盤」(1)

2009.10.09

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(聞き手:諏訪 弘=フリーライター)

 今年(2009年)9月9日、ザ・ビートルズ(以下、ビートルズ)のアルバムがリマスター化されて再発売になった。ビートルズの楽曲が初CD化された1987年以来初めてということもあって大きな話題を集め、発売から1カ月足らずで国内だけでも200万枚を売り上げる大ヒットとなった。改めてビートルズの偉大さを思い知る「事件」でもあった。日本国内でのマーケティングを担当しているEMIミュージック・ジャパン(東京・赤坂)の大島隆義さんに話をうかがった。

EMIミュージック・ジャパン マーケティング2部主任の大島隆義さん。ビートルズに携わる前はスパイス・ガールズのプロモーションなどを担当していた

リマスター作業には4年もの時間を要した

――ビートルズのCDアルバム発売が1987年。以来今日まで一度もリマスター盤が出ていないというのは意外でした。

 大島 そうなんです。いわゆるベスト盤・企画盤などで90年代以降に発売されたものについてはデジタルリマスターを加えたものもあるのですが、「本丸」ともいうべきオリジナルアルバムのリマスターはこれが初めてです。今後はこのリマスター盤をビートルズのオリジナルアルバムとして販売していくことになります。

リマスター盤の発売にあたり、全14枚をセットにした「ザ・ビートルズ BOX」も発売されている。ドキュメンタリー映像をまとめたDVDが特典として付属する。3万5800円

 実は以前から「ビートルズのオリジナルアルバムをリマスターして欲しい」という要望が世界規模で寄せられてはいました。結局、最初のCD発売から22年が経過したわけですが、これは我々がファンの声を無視していたということではない。CDの生産技術は日進月歩で、だから87年当時の技術で作られたアルバムが21世紀の現在もそのまま売られ続けていることを懸念する声は根強くあったのです。ただ、ビートルズの楽曲にふさわしい高品質なリマスター技術が確立し、かつビートルズの全楽曲をリマスタリングするのには、どうしてもそれだけの時間が必要だったということなのです。

 リマスターの作業はファンには馴染みも深いロンドンのアビイ・ロード・スタジオで行われ、作業完了まで実に4年もかかっています。ビートルズの楽曲や演奏はある意味では世界遺産ですし、熱狂的なファンもたくさんいらっしゃる。遺産の価値を損ねることのないよう、またファンのイメージを壊すことのないよう、作業は繊細の上にも繊細を極めたと聞いています。

――「リマスター」とは昨今よく聞く言葉ですが、具体的にはどういう作業で、どういう聴覚上の効果が生まれるのでしょうか。

 大島 リマスター作業とは、たとえていうならばオリジナルの音源を「磨く」作業です。マスターテープをハードディスクにデジタルコピーして、『Pro Tools』など専用の編集ツールを用いて個々の楽器音を際立たせたり、各種ノイズを除去したりといった化粧直しを施すわけです。この作業は24ビット処理で行っている。ビートルズのアルバムが初CD化された87年当時は16ビットが普通でしたから、もう段違いに高精度なのですね。

 ただ問題は、通常のリマスター作業なら取り除かれるボーカルの破裂音、歯擦音なども、ことビートルズの場合は「作品の一部」として価値のあるものになっていることです。先に「作業は繊細の上にも繊細を極めた」と述べたのはまさにこの点で、どのノイズを除去し、あるいは残すかについては相当な議論があったようです。実際のリマスターに携わったのは英EMIミュージックの選任チームですが、メンバー全員の合意が得られるまで延々と試行錯誤を繰り返したそうです。だからこそ4年もの時間を要したわけですね。

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