(もり・ひろし=新語ウォッチャー)
今年1月、水中文化遺産保護条約が発効した。海底遺産や沈没船などの「水中文化遺産」を保護するための条約だ。実はこの遺産について、かねてからトレジャーハンターと呼ばれる業者による「盗掘」が横行。経済的価値のある品物だけ引き上げ、考古学的に重要な史料を逸失させてしまう問題が指摘されていた。しかしながら海洋政策上の問題で、この条約を批准していない国も多い。
いわゆる海底遺跡は、水中文化遺産の代表例として挙げることができる。エジプトのアレクサンドリア沖で、1996年に発見された「クレオパトラの海底宮殿」もそのひとつ。4世紀の大地震によって水没した都市だ。この海底宮殿からは、ファラオ(君主)の彫像や、スフィンクスの石像などが引き上げられた。横浜で開催中の「海のエジプト展」(9月23日まで)では、これらの作品を展示中だ。
もうひとつの水中文化遺産として、沈没船を挙げることもできる。代表例は大航海時代のガレオン船(軍船や貿易船として用いられた大型帆船)。中米のカリブ海や、イタリア東部のアドリア海などには、この難破船が多数沈んでいる。世界ではこの種の難破船が300万隻沈んでいるとの説もある。
このような遺産は、これまでトレジャーハント(宝探し)の対象になることが多かった。海底遺跡や沈没船には、経済的な価値のある品物(貴金属・宝石・芸術品など)が眠っているからだ。この種の活動が活発化したのは1960年代以降のこと。いわゆる海洋サルベージ(引き上げ)の技術が発達したことが背景にある。特に大西洋地域では、トレジャーハンティングがすでにビジネスとして確立している状況もある。






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