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「農地争奪」~食料不足が生み出す「新植民地主義」への懸念(1/3ページ)

2009.09.11

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(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事
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 食料不足の問題を背景に、世界各地の農地に対して大規模な農業投資を行う国が増えた。その中には、農地の長期貸借契約を結ぶことで、独占的に農産物を確保しようとする事例も少なくない。世界のメディアはこの状況を「農地争奪」という言葉で批判している。行きすぎた農業投資は、農作物の国際市場のあり方をゆがめるだけでなく、途上国における持続的発展を妨げる可能性もある。

 今年3月、東アフリカの島国であるマダガスカルで政変が起きた。野党指導者のラジョエリナ氏による反政府運動が、抗議デモや暴動などを通じて国民や軍に広まり、ついにはラベロマナナ大統領を辞任に追い込んだのだ。執筆現在、マダガスカルの暫定大統領にはラジョエリナ氏が就任。前大統領のラベロマナナ氏はスワジランドに亡命している。現在のところ国際社会では、一連の政変をクーデターと捉えて、暫定政権を認めていない国が多い。そこで暫定政権は国際社会の要請に従い、憲法改正や大統領選に向けた準備を進めているところだ。

 この政変のきっかけが「韓国による農業投資問題」だった。昨年11月、マダガスカルの国内報道で、韓国企業と旧政権がある契約を結んだと「報じられた」のだ。その契約とは「韓国企業が同国に対して今後25年間で60億ドルのインフラ整備を行い、そのかわりに農地130万ヘクタール(同国の耕作可能面積の約半分)を99年間無償で貸与する」という内容だった。実際に結ばれた契約は「土地調査に関する覚え書き」だったとされるが、一連の報道が反政府デモの大きなきっかけになってしまった。

 実は近年、新興国を中心に途上国を舞台にした農業投資の動きが広まっている。これを世界のメディアが「農地争奪」という表現で伝えている。主な投資国は中国、韓国、UAE、サウジアラビアなど。逆に主な被投資国はアフリカやアジアに集中している。

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