衆院選での自民党大敗の背景には、国民の閉塞感があった。今回、たしかに政治の“表紙”は変わった。しかし、選挙戦を通じて国民が“志”を抱けるようなビジョンは語られなかった。これから危惧されるのは、「小選挙区制の罠」によってポピュリズムが加速し、国の将来を危うくすることである。
一本道の人生しか許されない社会に閉塞感
投票日の30日夜、テレビ東京系列の選挙特番「ニッポン戦略会議」に出演して、選挙後の日本のビジョンについて発言した。僕のほかには、伊藤元重氏、姜尚中氏、北川正恭氏、榊原英資氏、塩川正十郎氏、竹中平蔵氏、田中均氏、ロバート・A・フェルドマン氏らが出演した。
番組で「現役世代を活性化するには」という問いに対して、僕は「ハローワークを自治体に移管すべきだ」と答えた。生活保護を担っている自治体が、仕事のない低所得者にすぐに生活保護を出し、つづいて仕事を紹介する、“一貫生産システム”にしたほうが利用者にとっては効果的だからだ。さらに「『同期の桜』か『非正規』という垣根を壊せ」と回答を用意していたが、時間の都合か何かでこのテーマは取り上げられなかった。それはともかく、社会の閉塞感の原因は、世の中の仕組みが一本道の人生しか許さないようになっていることにあると僕は考えている。
就職氷河期で就職できなかったり、会社を辞めたりすると、非正規になって賃金が下がる。一度、時給800円の世界に入ってしまうと、そこから抜け出すことは難しい。労働市場に流動性がないから、正社員という「同期の桜」の世界と、非正規のあいだに大きな垣根ができてしまっている。
また、正社員のあいだでも、雇用に自由度がないから新しいアイデアが出てこない。年功序列で人事が決まるから、トップにビジョンを示せるような人材が集まらず、若手は不満を募らせている。