今回で本コラムは最終回になる。今後は、「ニュース解説」欄で適宜宇宙開発関連のニュースをお伝えする予定だ。
最終回として、現在の日本宇宙開発に欠けてしまっているものを指摘したい。それは長期的な視点に立った取り組みである。宇宙基本法の成立以降、日本の宇宙開発は研究開発から実利用へと大きくシフトしつつある。しかし、宇宙開発には時間がかかる。最初に「なにかできないか」と考え始めてから実現するまで20年以上かかることはざらだ。逆に言えば、今、長期的な視点に立った取り組みを放棄すれば、日本宇宙開発は20年後に手詰まりを迎えることになる。
宇宙開発の現場は長期的な視点に立った取り組みを忘れてはならない。政界、官界、産業界から「何を夢物語を語っているのか」と非難されるような取り組みこそが、実は未来への仕込みとして必須なのである。
6523日と8367日
6523日──これが何の日数か分かるだろうか。答えは「日本が小惑星探査を検討し始めてから、最初の探査機『はやぶさ』を打ち上げるまでに要した日数」である。17年10カ月と10日だ。1985年6月29日、当時東京大学の駒場キャンパスにあった、文部省・宇宙科学研究所で、30名弱の研究者が出席し「小惑星サンプルリターン研究会」が開催された。
そこから2003年5月9日の「はやぶさ」打ち上げまで、これだけの時間が必要だったのである。
いや、この時間はもっと長かったとも言える。というのは、日本で最初に小惑星探査の可能性を検討したのは宇宙研ではなかったからだ。科学技術庁・航空宇宙技術研究所の輿石肇氏らが、1979年に最初の検討を実施して、宇宙研の前身であって東京大学・宇宙航空研究所が主催した第1回太陽系科学シンポジウムで発表している。ただし、この時は単発的な検討で、後が続かなかった。輿石氏らの検討から数えると、はやぶさ打ち上げまで約23年、2010年6月に予定されているはやぶさ帰還までを考えると30年以上の時間がかかっていることになる。
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