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森永卓郎:アトム通貨が示す地域通貨の可能性(1/3ページ)

2009.08.19

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(森永卓郎=経済アナリスト)

 高田馬場・早稲田周辺の商店街限定で使用できる地域通貨「アトム通貨」が全国に拡がる動きを見せている。今年(2009年)4月に埼玉県川口市の商店街が導入したのを皮切りに、札幌市・熊本市など全国6カ所の商店街も導入を検討、8月中の正式導入を目ざす。地域通貨の利用エリアが広がるのは珍しい、という。地域通貨の効果を検証し、もってこの動きを評価してみたい。

8月中にも「アトム通貨」が全国に拡がる

 東京都新宿区の高田馬場、早稲田周辺地域で導入されている「アトム通貨」が全国展開する方向になった。アトム通貨実行委員会が適用地域の拡大を決め、6月24日に説明会を開くと、北海道から九州まで全国6カ所の商店街関係者らが集まった。なかには8月から制度を導入しようと考えている商店街もあるとのことで、全国展開が実現するのは確実だ。

 2004年から始まったアトム通貨は、鉄腕アトムの舞台が高田馬場であることにちなんで、手塚治虫さんの「人と人とのつながりの大切にし、子どもたちや地球の未来を守る」という理念に共鳴した人たちが始めた活動だ。アトム通貨は、現在10馬力、50馬力、100馬力という3種類の紙幣が発行され、それぞれに鉄腕アトムのイラストが入っている。紙幣の価値は1馬力=1円だ。

 アトム通貨を配ろうとする人は、実行委員会にどのような目的で使用するのかを申告して、アトム通貨を同価値の現金で買い取る。消費者がアトム通貨を手に入れるのには二つの方法がある。一つは「プロジェクト」と呼ばれているものだ。たとえば、特定の商店で買い物をしたときにエコバッグを持参すると、その商店がアトム通貨をその消費者に手渡すというものだ。マンガ図書館で鉄腕アトムのコミックスを閲覧すると、アトム通貨がもらえるといったものもある。もう一つは、「イベント」と呼ばれるもので、街の清掃活動に参加した場合などにアトム通貨がもらえる。

 実は、アトム通貨は「地域通貨」と呼ばれるものの一種だ。地域通貨というのは、文字通り「地域コミュニティのなかだけで通用する通貨」のことをいう。地域通貨は、アトム通貨の他に、千葉市の「ピーナッツ」、東京渋谷の「earthday money」、宝塚市の「ZUKA」、湯布院町の「yufu」など、さまざまな地域でこれまでも使われてきた。

 また通貨のタイプも様々で、アトム通貨のような紙幣タイプ以外に、通帳タイプや電子マネータイプが存在する。神奈川県大和市では、市が発行するICカードに「LOVES」と呼ばれる地域通貨を搭載している。今後の地域通貨は、管理が容易な電子マネーが主流になっていくかもしれない。

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