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大前研一の「産業突然死」時代の人生論ビジネス

大前研一:総選挙前に「みっともない」姿をさらす人々(1/5ページ)

2009.07.28

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 先の都議会選挙が民主党の圧勝・自民党の惨敗に終わり、これを受けて衆議院が7月21日に解散、8月30日に総選挙の投票が行われることになったのはご承知の通り。いよいよ選挙戦が本格化するわけだが、解散から投票までの40日間はあまりにも長い。この間にどんな動きが出てくるか予断を許さないが、今回はこれまでの自民党、経団連、全国知事会、民主党のマニフェスト発表の動きを振り返って見よう。そこに浮かんでくるのは、残念ながら、「みっともない」「あきれる」というマイナスイメージの言葉ばかりである。

東国原知事への出馬要請で国民の失笑をかった自民党

 まずは自民党の「みっともない」からだ。

 本稿執筆時点で、自民党の選挙対策委員長が空席になっている。これまでは古賀誠氏が務めていたが、都議会選挙での与党敗北の責任を取り、7月14日、選挙対策委員長を辞任する意向を示した。この辞任表明については与党敗北だけでなく、宮崎県の東国原知事に総選挙への出馬を要請していたことも原因があると見られている。

 麻生首相は当初、古賀氏の辞任に対して「No」と言った。その結果、選挙対策委員長が空席になって現在に至っている。辞表を出した古賀氏には、もはや選挙対策の仕事をする意欲は残っていないだろう。このため麻生首相が本部長を務める選挙対策本部の本部長代理に細田幹事長とともに就くことになった。自民党は選挙対策委員長の不在のまま選挙に突入しようとしている。こんな体たらくを国民にさらしてしまう自民党は、まったくもって締まらない。

 騒動の一端となった東国原氏は結局、立候補せずに知事職を続けることを16日に表明したが、この一連の流れで古賀氏および自民党の姿勢は非常に「みっともない」ものだった。古賀氏が東国原知事に出馬を要請したところ、まるでなめられたかのように「総裁候補にしてくれるなら出馬する」と言われ、日本中の失笑を買ったのだ。

 もっとも、東国原知事の方も無傷ではすまなかった。この「思い上がり」ともいえる発言は国民の大きな批判を受けた。師匠の北野武氏には「そのまんま西に帰れ、宮崎県民に謝れ」とたしなめられ、謝罪した上で立候補しないことを宣言した。宮崎県民はもはや彼を再選することはないだろう。「また同じことをやられたらたまらない」と懲り懲りしているはずだ。県議達も勢いを得て急に知事攻勢を強めている。これまでさんざんコケにされていたのに、これまた「みっともない」虚勢である。東国原知事は4000万円の退職金の半減を議会にはかって可決しているが、それでも2000万円にしがみついて残り1年半の任期は務めるだろう。次の宮崎県知事選挙で対立候補が出たら県民が白けきっているだけに、勝ち目は薄い。

 古賀氏には自身の選挙戦でも難題が降りかかっている。地元で古賀氏の元秘書が対立候補として出馬するといい、選挙戦分析の専門家は「古賀氏、危うし」と読んでいる。ここに選挙対策委員長辞任の真の理由がある。総選挙では「民主党有利」とする分析が圧倒的で、この分析通りだとすれば、自民党が敗北するばかりか、古賀氏自身も当選できるかどうか危うい状況にあるのだ。

 となれば当然、古賀氏としては地元に帰って必死に選挙運動に力を入れたい。選挙対策委員長の立場では地元に帰ることができないから、その座を辞任するしかない。古賀氏にとっては自民党の議席獲得数よりも、自身が政治家であり続けることのほうが大事ということだろう。

 古賀氏の地元(福岡県7区)では至る所に「古賀」と冠のついたハコモノがある。いわく、古賀橋、古賀産業道路・産業公園、古賀駅(九州新幹線の船小屋駅)、古賀道の駅、などなど。これだけ地元に貢献しても、いまや選挙民には感謝の念というのが希薄なのだろうか? 万一、彼が落選するようなことになれば、まさに「自民党型土建政治」の終焉を飾ることになるだろう。

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