(津田大介=メディアジャーナリスト)
公正取引委員会は2009年2月27日、テレビ局やラジオ局など放送事業者向けの音楽著作権管理事業について他者の新規参入を阻害した疑いで、管理事業最大手の日本音楽著作権協会(JASRAC)に排除措置命令を出した。命令の有効性を争う第一回審判は7月27日予定である。その運営体制に批判の声も少なくないJASRACだが、このたびの排除措置命令はJASRACが「変わる」契機となるか。
JASRACの「違反行為」は大きく3点
長年にわたり音楽著作権管理業務を独占してきたJASRACの料金徴収方法については、以前より音楽業界の内外から批判されることが少なくなかった。今回の排除措置命令につながる直接のきっかけとなった2001年の著作権等管理事業法も、そうした外部からの批判の声に応えてできたものだ。しかし、排除措置命令を受けた側のJASRACはこの命令を不服として、今年4月26日に命令全部の取り消しを求める審判請求を申し立てたことを発表した。
公取委の命令は確定的なものでなく、内容に対して不服がある場合は、審判を請求することができる。第1回の審判は7月27日で、今後は裁判と同じような手続きに従って審判が進み、排除措置命令の有効性が争われる。今回の排除措置命令につながる直接の原因となったのは、公取委が昨年4月23日に行ったJASRACへの立ち入り検査だ。JASRACと放送事業者間で行われている包括徴収契約(ブランケット契約)が、新規参入事業者への阻害をもたらしているという理由で、独占禁止法違反の疑いから立ち入り検査を行なった。
立ち入り検査に際し、JASRACは「立ち入り検査には全面的に協力し、今後の対応については検査の結果を踏まえて適切に対応してまいりたい」というコメントを発表したものの、その後の両者の「交渉」は不発に終わり、排除措置命令が出るに至った。公取委は、排除措置命令においてJASRACが行なった「違反行為」を下記のように定義している。
(2) これにより、JASRAC以外の管理事業者は、自らの放送等利用に係る管理楽曲が放送事業者の放送番組においてほとんど利用されず、また、放送等利用に係る管理楽曲として放送等利用が見込まれる音楽著作物をほとんど確保することができないことから、放送等利用に係る管理事業を営むことが困難となっている。
(3) 前記(1)の行為によって、JASRACは、他の管理事業者の事業活動を排除することにより、公共の利益に反して、我が国における放送事業者に対する放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における競争を実質的に制限している。
これだけ読んでも、音楽の著作権料徴収の仕組みや、音楽著作権に関する歴史に明るくない人はほとんど意味がわからないだろう。公取委が意図する「問題」はどこにあるのか。それを理解するには、JASRACが創設された歴史的経緯から知る必要がある。
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