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あなどれない新書たち

「家族を殺す」日本と日本人を考える〜『日本の殺人』

(NPO連想出版 新書マップ編集部 川井 龍介)

日本の殺人
河合幹雄 著
ちくま新書
819円

 日本のどこかで毎日のように誰かが誰かに殺されている。借金のトラブル、別れ話のもつれ、介護疲れ、そして理由不明で・・・。人を殺す理由はさまざまだが、ここ数年ニュースを見ながら感じるのは、テレビのサスペンスドラマで展開されているような事件とはずいぶんと違うということである。

 だいたいドラマでは、遺産をめぐっての争いや若いころ受けた陵辱への復讐といったおどろおどろしい人間の情念が背景にある。これはこれで結構おもしろく眺められるのだが、こんないかにも殺人事件らしい事件には実際は滅多に出合わない。日々の事件は、「どうして殺してまで?」と思えるような、理由もよく分からない殺伐としたものばかりだ。

 しかし気になることが一つある。それは「家族の間での事件が多くなってはいないか」という疑問だ。虐待による子殺しに、介護疲れのあげくの親殺しなど。いったい日本の殺人はどうなっているのか。殺人を犯す者とそうでない者との差はなんなのだろうか。こうした日々のもやもやした気持ちがあったので法社会学の専門家による、その名もずばり『日本の殺人』が出版されたと知りすぐに手に取ってみた。

 本書で著者が意図したのは、「殺人者の目を背けたくなるような部分にも光を当てて、実像をできるだけ多くの人に知ってもらう」ことだという。その言葉の通り、ともすれば異常性とスキャンダル性が強調される殺人事件について、事実に即して解説、分析する。具体的にいうと、本書ではそのほぼ半分を割いて日本の殺人事件が、いったいどんな人間(関係)によって、どうした状況でどんな理由で起こされているかを紹介する。「犯罪白書」、「犯罪統計書」、「殺人の罪に関する量刑資料上・下」などの資料、研究報告などをもとに殺人事件に多方向から光をあてる。

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