中堅・中小企業にも広がる空洞化
前回、記事にしたように、いまや世界はバブル経済に再突入している。米国は間違いなくインフレ政策(リバブル政策)へと舵を切った。住宅価格の値上がりで不良債権処理を加速しようという意図がみえみえだ。株式市場だけが上がったわけではない。2008年12月に1バレル32ドル台をつけた原油価格(WTI)がいまや70ドル。わずか半年間で2倍以上になっている。石炭も鉄鉱石もそして小麦などの穀物にいたるまで急騰している。
昨年の秋と今とでは世界経済はまったく事情が変わってしまったというのに、日本国内ではそうした認識がまるでない。半年前も今も何も変わらない。「100年に一度の経済危機」という中身のない情緒論から抜け出せていないのだ。株高や一部経済指標の好転を見て「不況は底を打ったか否か」というところで思考停止に陥る。
私は繰り返し日本の製造業空洞化に対する危機感を表明してきたが、その心配はついに中堅・中小企業にまで広がってきた。先日、トヨタ自動車のお膝元である三河地方で中堅中小企業の経営者の話を聞く機会があった。トヨタの下請け企業に材料を卸している企業の経営者は「時代の流れは完全に変わった」と話していた。
「どんなに景気が良くなっても受注量がもとにもどることはないでしょう。トヨタの一次下請けでもピーク比で80%までもどればいいところだと考えています。製造業への労働者の派遣を認めないということになったら、本当に空洞化しますよ。わが社はピーク比60%の売り上げで利益がでるように収益構造を見直しています」