
(取材・文=荒川 龍)
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前回は、スピ―ド感のある事業運営をするために、権限と責任を球団運営会社である西武ライオンズ(以下、ライオンズ)に集約する経緯に触れた。08年シーズンの開幕後、荒原正明事業部長は、外部人材を登用しながら、プロパー社員をふくめて試行錯誤を重ね、組織としての一体感を培っていく。それは社内外の人間が現場で感動を共有しながら、「顧客単価=満足度」の意味を学んでいく過程でもあった。
「やらない理由は言わない」
08年シーズンの荒原には、事業運営を通じて、社内外の人材を一つのチームに束ねていく必要があった。成功体験を持つ専門性の高い外部人材が、「これもやりたい、あれもやりたい」と主張すれば、プロパー社員は経験則から「以前こうだったから」とそれを拒むだろうと予想できたからだ。総勢70名中、荒原が統率する事業部は46名(09年4月時点)。外部から採用したのは5名(08年4月時点。09年4月時点では13名)。荒原が新組織の前提として掲げたテーマは、「やらない理由は言わない」。
「一番危険なのは、『前はこうだったから』という前例踏襲主義。それは悪魔のささやきでね、そう言えば、みんなが理由もなく納得してしまう危険がある。だから、『これをやるとこういう成果が出るのでやりたいんだけど、こんな課題やリスクがある』という形で発言にしてほしい、と部下には言いました。新しいことに挑戦するために、それに伴うリスクを読んで事前に(リスクを)下げる練習を、みんなでやっていこうよ、と」
前例踏襲主義には2つのリスクがある、と彼は言う。一つは、新たな挑戦をしなくなって組織が硬直化すること。もう一つは、「以前はこうだったから」という事なかれ主義がはびこり、組織としてリスクを読むこと自体が疎(おろそ)かになる危険だ。
「事前にリスクを読んで下げても、それをゼロにすることはできません。ただ、その作業を普段行っていれば、実際に事故が起きた場合、迅速かつ的確な対処ができる可能性が高まる。でも、前例踏襲主義が染みつき、その作業をサボってしまった組織は、何かの事故が起きた場合、パニック状態になってしまいがちだと思うんです」(荒原)





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