まだまだマイナーな「Rakugo」
英語落語家として世界を巡る
文京学院大学准教授・英語落語家 大島希巳江さん(2)
(伝農 浩子=フリーライター)
(前回記事はこちら)
大学で異文化コミュニケーションや社会言語学を研究する大島希巳江さんは、日本の笑いの文化や、落語の中に含まれる日本の多くの文化を笑いと共に伝えたいと、毎年、海外公演を行っている。2008年に招待を受けて参加した「International Performing Arts Festival」には、パフォーマンス関係の専門家や劇場関係者も多数訪れていて、早速、各地からオファーが。スケジューリングに苦慮しているという。
「ところで、日本人にユーモアなんてあるの?」
「落研だったんですか、と言われることがあるんですけど、大学はアメリカだし、それまで、落語をやったことはなかったんです」
そう語るのは、世界各地で行う英語落語のツアーをプロデュースし、自らも英語落語家として高座に上がる文京学院大学准教授の大島希巳江さん。

英語落語を「English-rakugo」のほか、「Japanese sit down comedy」などと表現を工夫して理解してもらおうと努めている。大島さんの努力や活動は、今年度から高校の教科書に取り上げられたほどだ(英語落語のHPはこちら)
大島さんが英語落語を始めたきっかけは、大学院で研究していた異文化コミュニケーションの一環だった。コロラド州立大学ボルダー校で国際関係学を学んだ後、帰国して青山学院大学大学院の国際コミュニケーション学科へ進み、異文化コミュニケーションや社会言語学を研究していた。そして、エスニックユーモアを研究テーマに、さまざまな民族をルーツとする人たちが暮らすハワイで調査を行った。エスニックジョークを介することでさまざまな文化を背景とする人たちがコミュニケーションを活性化していることを論文にまとめ、さまざまな分野からユーモアを研究する学者が集まる「国際ユーモア学会」で発表。1996年のことだ。
ところが、発表後に受けた質問は、「ところで、日本人にユーモアなんて分かるの?」。苦労して仕上げた論文とは全く関係のない質問だ。
「そっちかい、と。でも、そのとき私は唯一の日本人会員だったので、彼らはアメリカの事情なんかじゃなくて、日本の事情の方に興味があったのも無理はないんですね」
しかし、高校のときに交換留学生としてアメリカに渡ってから7年ほどをアメリカで暮らし、日本に戻って来てまだ2年ほどしか経っていない。日本の事情の方が疎い状況でもあったため、その場で論理的に解説はできなかった。
「『分かりました。来年の発表までになんとかしましょう』ということになってしまったんです」
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