(伝農 浩子=フリーライター)
「優れた製品を生み出し」、「まじめ」で「親切」、けれど「つまらない」。愛想笑いばかりで無表情、本音が見えないと受け取られやすい日本人に対してそんなイメージを持つ外国人は今でも多い。本当の日本人の姿を、落語を通して知ってほしいと、大島希巳江さんは10年以上も前から英語落語の海外公演を行う。その数は、約20カ国、200公演にのぼる。

英語落語を「English-rakugo」のほか、「Japanese sit down comedy」などと表現を工夫して理解してもらおうと努めている。大島さんの努力や活動は、今年度から高校の教科書に取り上げられたほどだ(英語落語のHPはこちら)
想像力にまかせるからこそ理解は国境を越える
1998年から、落語家やお囃子を率いて、毎年、英語落語の海外公演を行い、各地に日本の笑いを届けている文京学院大学准教授の大島希巳江さん。最初の立ち上げから今に至るまでプロデューサーとしてツアーを取り仕切る。
落語の始まりは室町時代の末ともいわれ、現在のような形に確立したのは江戸時代とされている。日本語を使う話芸のため、ビジュアルでアピールできる歌舞伎や能と違って、日本の伝統芸能の中では世界に出て行きづらかった。
その一方で、美点もある。その一つは、いろいろな意味でシンプルなこと。手ぬぐいと扇子、座布団さえあればどこでもでき、お金もかからない。その分、聞き手の想像力に頼ることになる。裏返せば、理解さえしてもらえれば強みになるということだ。大島さんは語る。
「例えば歌舞伎でも映画でも映像のあるものは、『ある美人が向こうから歩いて来た』とすると、実際の“美人”がビジュアルとしてそこに現れる。それが見る人の好みだろうとなかろうとその人に限定される。だけど、落語の場合はお客さんがそれぞれ勝手に自分の好みの美人を想像するわけです」
どの国の、誰にとっても100%の美人となるのだ。
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