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時評コラム

ニュース解説

不妊治療のための
卵子提供をどう考えるか

体外受精、姉妹・知人の卵子提供も容認の方針へ

2009年5月28日

(柘植 あづみ=明治学院大学社会学部教員)

 日本生殖医学会の常任理事会は3月27日、姉妹や知人から卵子提供を受けて行なう体外受精を認める方針を決めた。匿名でない第三者からの卵子提供を認める方針を打ち出すのは学会では初となる。来る6月の総会で容認方針が承認されれば、同学会は日本産科婦人科学会や日本受精着床学会と協議し、実施に向けて共通の指針作りを始める方針だ。倫理面での問題と、「それでも子どもが欲しい」という夫婦の願いとは、どのように両立するのか考えてみたい。

ほとんど進んでいない「第三者からの精子・卵子の提供」の法整備

 3月27日新聞各紙の報道によると、日本生殖医学会(旧・日本不妊学会)の常任理事会は、第3者からの提供卵子を使った体外受精を条件付きで認めるとしたことが明らかになった。今後、6月の学会総会で容認方針が承認されれば、日本産科婦人科学会や日本受精着床学会などの関連する学会と協議し、実施に向けての指針やシステムづくりと、国による法整備を求めていくという。

 この背景には、まず日本生殖補助医療標準化機関(JISART)が、独自の指針にもとづいて提供精子と提供卵子による体外受精を実施しはじめたことがある。JISARTとは体外受精などの生殖補助医療を積極的に進めている21の医療施設のネットワークである。2007年に提供精子と提供卵子による体外受精の実施を宣言し、翌2008年には指針を作成、今年(2009年)2月に卵子提供による体外受精2例で男の子が生まれたと公表した。

 JISARTに先んじて精子や卵子提供による体外受精・代理出産を実施し、出産例を公表しつづけている産院に、諏訪マタニティクリニック(長野県)がある。同院に対する風当たりは強く、産婦人科医の大半が加入する日本産婦人科学会は、学会から除名することなどによって厳しく対処してきた。ところが今回のJISARTの動きに対しては、日本産婦人科学会は勇み足を牽制する声明を出したものの、厳しい姿勢は取っていない。

 これは、精子や卵子の提供による体外受精を認めるための法制備が進んでいないこととも関係する。厚生審議会の生殖補助医療部会は2003年に「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」をまとめ、匿名の第三者からの精子・卵子の提供による体外受精を条件付きで認めること、それを実施するために法整備を進めることを提言した。にもかかわらず、6年過ぎたいまも法整備はまったく進んでいない。つまり、不妊治療に積極的な医師たちが待ちくたびれて動き出したことを学会は止められなかったのだろう。

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