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松浦晋也の「宇宙開発を読む」テクノロジー

公表された宇宙基本計画案(3)(1/5ページ)

既存技術を活かした低コスト化は民間主導で

2009.05.12

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 今回の宇宙基本計画(案)には、かつてならばかなりの文章量で言及されていた宇宙輸送系の技術開発に関する記述がほとんどない。しかし、日本の宇宙輸送系技術は決して世界第一線級と言いうるものではない。H-II、H-IIAで大規模な技術開発を行い、世界一線級にかろうじて届いたものの、指だけでトップグループにひっかかっているような心許ない状態だ。

 では今後、日本の宇宙輸送系の技術開発はどのようにすすめるべきなのだろうか。

 世界的に宇宙輸送系は、現状では低コスト化に腐心している。低コスト化の方法は大別して(1)既存の使い捨てロケットの構造を簡素化して可能な限り低コストで製造・運用できるようにする、(2)ロケットを徹底的に高性能化して再利用可能にする、(3)スクラムジェットのようなエアブリージングエンジンを実用化し、再利用型スペースプレーンを開発する──の3つが存在する。

 今、世界的に進行しているのは(1)だ。そのもっとも目覚ましい成功になりつつあるのが、米ベンチャーのスペース・エクスポラレーション・テクノロジース社(スペースX)が開発したロケット「ファルコン」シリーズである。日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業がH-IIA後継の「H-X」ロケットの検討を、「より簡素で低コスト、かつ高い信頼性」という方向性で実施している。

 私の見るところ、この方向性はすでに国が主導して高度な技術開発を行うという段階を過ぎている。米政府は補助金を出すと同時に、政府衛星の打ち上げを発注することでスペースXのロケット開発を支援している。日本でも、H-X開発はすでにJAXAが関与する段階ではないだろう。開発を支援する補助金と、政府がローンチ・カスタマーとなっての打ち上げ契約によって三菱重工主体の開発を支援するべきだ。

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