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松浦晋也の「宇宙開発を読む」テクノロジー

公表された宇宙基本計画案(2)(1/8ページ)

消えてしまった宇宙輸送システムの研究開発

2009.05.01

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 前回、宇宙基本計画(案)に隠された、太陽系探査の危機について書いた。これまでの経緯を少しでも知っている方は、疑問に思うかもしれない。「宇宙基本法は、政治によるトップダウンの意志決定を目指して制定された。にもかかわらず、JAXA内の各セクションの利害が基本計画案に入り込んでくるのはなぜだ」と。

 ここに今回の基本計画案の根本的な問題が現れている。確かに宇宙基本法は、官僚主導を脱して政治主導の宇宙開発を目指し制定された。しかし、政治が宇宙開発の意志決定を行うためには、政治家は宇宙開発についてよほど詳しく勉強しなくてはならない。宇宙は地上とは異なる物理法則が支配する世界だ。地上の常識を安易に当てはめると手痛い判断ミスをすることになる(私がPC Onlineの連載で執筆した、「地上の常識では非常識に思える、宇宙の常識」「政治家の常識と、宇宙の常識について」を参照してもらいたい)。

 宇宙基本法が施行されてからまだ8カ月だ。法律の制定過程から与党、野党共に勉強会を開いて、宇宙関係の情報を収集し続けている。しかし現状では、まとまった数の政治家が、物理法則からエンジニアリング、国際情勢に至るまでの宇宙開発にかかわるすべての分野を網羅し、鳥瞰した上で政治的判断を下せるだけの能力を身につけているとは言い難い。

 こうなると必然的に官僚の出番となる。官僚は調整能力に長けている。各方面からの声に耳を傾け、利害を調整して首尾一貫した基本計画にまとめ上げることができる。前回、私が「日本の官僚の優秀性を改めて確認した」と書いたのは、このことを指している。

 今回の宇宙基本計画(案)では、政治の側からは、基本的な枠組みに関する指示しか出ていない。「シーズ先行の技術開発から、ニーズ先行へ」「安全保障分野での利用推進」といった枠組みである。ここに河村建夫内閣官房長官が強く開発推進を主張しているGXロケットを入れてもいいだろう。

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