アイデンティティに揺れた20年
長い歴史の琵琶と向き合う
筑前琵琶奏者・大阪学院大学国際学部教授
シルヴァン旭西ギニャールさん(2)
(伝農 浩子=フリーライター)
(前回記事はこちら)
琵琶の起源は諸説あり、日本には奈良時代にシルクロードを経由して中国から伝わったとされている。正倉院にはインド起源とされる五絃琵琶や古代ペルシアが起源とされる四絃の螺鈿紫檀(らでんしたん)の琵琶が現存する。筑前琵琶奏者として活躍するスイス人のシルヴァン旭西ギニャールさんは、1000年以上も続き、さまざまな種類が生まれて来た琵琶という楽器の歴史も含め、素晴らしいと言う。
芸術一家に生まれ、ショパン研究に取り組む

父は著名な画家、母は文化評論家、そして、ピアニストだった祖母という環境でスイスに生まれ育った、筑前琵琶奏者のシルヴァン旭西ギニャールさん。7歳のころから、祖母に教えてもらってピアノを始めた。やがて本格的にレッスンを受けて、高校が終わるころまでは大好きな趣味として続けていた。
音楽学をやったらどうかと祖母に提案されて、大学で音楽学、音楽史を専攻する。
芸術一家の中で育ったが、意外なことに4人いるきょうだいの中で芸術系に進んだのはギニャールさんだけだった。
「だから、父が喜んだんですよ。兄は政治家、妹は数学者、弟は眼科医と別の世界。私が10歳くらいのころは絵が上手だったので、父は私が画家になるかもしれないと期待したけど、音楽の方に。それでも、喜んでくれました」
しかし、ギニャールさん自身は、学者ではなく、ピアノで演奏家の方に進みたかったのでは?
「音楽で生きていきたいとは思っていましたけど、ピアニストにこだわってはいませんでしたね。でも高校卒業後には、チューリッヒ市立音楽院の4年のコースでピアノの教授資格を取ったんです」
その後、音楽学の学者を目指しチューリッヒ国立大学へ進んだ。学費はピアノを教えるなどして稼ぐことができた。
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