宮島 理 (みやじま・ただし)
2009年3月、コマツの社内学校「コマツ工業専門学院」の1期生20名が卒業を迎えた。現場で技能者として働く若手社員から選ばれた精鋭たちが、2年間の学習期間を経て、4月から現場を知る中堅リーダー候補として巣立っていったのだ。
「入学前とは顔つきが全然違いますよ。2年間の苦しく厳しい勉強を乗り切ってきた自信が顔に出ていました。言われたことをきちっとやるだけでよかった人たちが、現場とはまったく違う環境で、大先輩から技術を直接学ぶことができたわけですから、若い人たちはかなり影響を受けたと思います。今どきここまで熱心にやっている社内学校はないと思います。これで変わらなかったらウソですよ」

そう語るのは、同学院長の下村達夫さんだ。コマツ工専では、各工場でトップクラスの腕を持つ「マイスター」から技術指導を受けることができる。若手社員にとっては「雲の上の存在」(下村学院長)だったマイスターから、直接学ぶ機会を得る貴重な場となっている。
マイスターには工場の部課長クラスが多いが、コマツ工専のある石川県小松市まで、全国から時間を割いて指導に訪れる。それだけ、コマツ工専に対する期待は大きい。
背景には、中堅リーダーが世界的に不足しているという切実な事情がある。新興国の開発ブームなどで、特に03年以降、コマツの事業はグローバルに急拡大してきた。中堅リーダーの育成がそれに追いついていない。
コマツは49工場のうち、36工場が海外で操業している。現地では、研究・設計の大学卒は採用できるが、生産技術者など現場に近い職種への応募がきわめて少ないという。
「日本を基点にしてものづくりをするためにも、日本流を現地に伝える中堅リーダーの育成が欠かせません」
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