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現代ではマイナーだから面白い

日本の伝統を継ぐ外国人たちライフ

かつて芸事の基本だった琵琶
現代ではマイナーだから面白い(1/6ページ)

筑前琵琶奏者・大阪学院大学国際学部教授
シルヴァン旭西ギニャールさん(1)

2009.04.14

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(伝農 浩子=フリーライター)

 「琵琶」と聞いて、楽器の琵琶の、その形、音色を思い浮かべることができる人がどのくらいいるだろうか。分かりやすいところでは、「平家物語」で知られる琵琶法師。また、七福神の中の唯一の女性であり、芸能の神様である弁才天(弁財天)が手にしているのが琵琶である。そんな琵琶の演奏家、スイス人のシルヴァン旭西ギニャールさんは、日本はもとより、ヨーロッパでも演奏を行っている。

琵琶は今、流行っていません。だからやってみたら?

 大阪学院大学の教授として教鞭を執る傍ら、琵琶奏者として活躍するシルヴァン旭西ギニャールさん。元々はピアノを学び、ショパンの研究家だった。26年前にスイスから来日するまで、琵琶の実物を見たこともなかったという。

シルヴァン 旭西 ギニャールさん
(Silvain Kyokusai Guignard)
HPはこちら

 当時、興味を持っていたのはインド音楽だった。1970年代前半当時、インド音楽は人気が高かった。ギニャールさんも同様に

 「シタールとかね。そういうのが大好きだったんです。インド音楽をいろいろ聴いた。でも、インド人の知り合いはいなかった」

 そして進んだチューリッヒ国立大学で出会ったのが、シューマン研究で知られ、東洋音楽史を教えていた前田昭雄氏だった。前田氏は講義の中で日本のさまざまな音楽も紹介。日本の古典音楽を聴いてみると、それまで知っていた音楽と全く違った。そこで、日本の音楽を専門とすることに決めた。

 学生が5~6人と少ないこともあり、先生とは個人的な関係も築かれた。

 「専門を絞ったらどうだろうと先生に言われたんです。私の好みも分かって、『琵琶にしたらどうでしょう。あなたは日本語もやっているから言語とかかわるものもいいんじゃないですか。琵琶は面白いです、が、誰もやりません。今、日本で流行していない』と」

 ギニャールさん自身が、日本の音楽の中で興味を持っていたのは、雅楽や文楽だったが、その分野ではアメリカ人のロバート・ガフィアス氏が1959年に出した雅楽の本が良書としてすでに定着していた。尺八もアメリカ人、オーストラリア人など、研究家、奏者は多い。

 学者として、学問としてやるためということもあるが、あえて流行していない琵琶を選ぶ。

 「例えばモーツァルトを選んだら、何千人という無数の専門家の一人になってしまうでしょ」

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