「本人のものよりいいぞ」とロン・ウッド
誠実なものづくりで「歴史」を継承する
製作者の遺志を受け継いだ「世界一美しいギター」(2)
(聞き手:諏訪 弘=フリーライター)
(前回記事はこちら)
ローリング・ストーンズのギタリストであるロン・ウッドは、神田商会の新生ゼマイティスに高い評価を下す。それがきっかけとなってブランドが広く認知され、新生ゼマイティスは音楽業界に確固とした地歩を固める。「オリジナルの製作技術や理念は引き継げる。しかし、歴史をつなぐのは本当に難しい」と神田商会企画室室長の茂木祥友さんは語る。
熱心なファンからの批判は「見た目」に集中した

オリジナルのゼマイティスは世界中に熱心なファンがいるブランドです。我が社のような「外様」がブランドを引き継ぐことへの風当たりは相応に強くなるだろうとは思っていました。それでもギターそのものの出来栄えや音については納得して頂けるとは確信していました。だから「神田商会の新生ゼマイティスはきれい過ぎる」と、批判の内容がほぼ「見た目」に集中したのは想定の範囲内だったともいえます。
ただし「想定の範囲内」の批判とはいえ、看過していい問題だとは私は考えてはいませんでした。熱心なファンの求めるゼマイティス像と、我が社が提示する新生ゼマイティスとの乖離を放置していては、いつまで経ってもブランドが定着しないからです。それでは我が社としてもゼマイティスを獲得した甲斐がないし、なにより故ゼマイティス氏の遺志にも反する。
この場合、考えられる対策は二つあります。一つは、我が社の新生ゼマイティスの認知を進めること。その作りの良さや音の良さをむしろ前面に打ち出して、「ゼマイティスはこうなんだ」と納得していただこうというわけです。だから私は、かつてないほど熱心に広報活動を行いました。音楽雑誌のみならず、これまであまり縁のなかったメディアからの取材も積極的にお受けし、新生ゼマイティスのアピールに努めました。
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