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松浦晋也の「宇宙開発を読む」テクノロジー

浮上した日本の有人月探査計画(5)(1/4ページ)

アメリカが「プログラム・オブ・プログラムズ」に
復帰するかに注目せよ

2009.03.27

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 今回の有人月探査を巡る動きの根底には、日本が経済面でも安全保障面でもアメリカにかなりの部分を依存しているという事情が存在する。構造的に、アメリカから何かを言ってくれば日本としては「ノー」とは言いにくいのだ。

 国際宇宙ステーション(ISS)計画は、主にアメリカの都合で遅延と計画変更を繰り返した。予算規模は拡大し、計画は延期に次ぐ延期に見舞われた。普通に考えれば「もうアメリカが主導する巨大計画はゴメンだ」ということになるはずだ。しかし、そうはならずに今回のように、またもアメリカ主導の有人月計画への参加が浮上してくる理由のひとつは、「日本にとっては巨大な輸出市場であり、また日米安保条約を結んでいるアメリカの言っていることだから」ということである。

 とはいえ、ISSのような大幅かつ一方的な計画遅延に巻き込まれるのは、もう避けたいところだ。1982年以来の27年間に、日本の宇宙開発がアメリカからISSがらみで被った迷惑はあまりに大きい。

 ここで問題になるのは、日本という国の置かれた状況として、アメリカ主導の有人月探査へ参加するか否かを、一体どの段階でどのような基準で判断するべきかということだ。

 答えはただ一つだ。アメリカが、国際協力による有人月探査を、「プログラム・オブ・プログラムズ」で実施すると明確に表明するかどうかである。

独立した計画を束ねて大計画とする

 「プログラム・オブ・プログラムズ」というのは、「多数の計画(プログラムズ)が、お互いに関係し合いながら大きな計画(プログラム)を形成する」というかたちで巨大計画を更生する手法である。それぞれの計画は独立しているので、どれかがトラブルを起こしても他の計画への影響は軽微である。逆にそれぞれの計画が頻繁な情報交換を行い、お互いに協力し合えば、単独で計画を実施するよりもずっと大きな成果を挙げることができる。

 参加各国の自律性を保証し、ひとつの国で発生したトラブルが他の国の計画に波及することを防ぎつつ、協力による成果の増大を目指すのが、「プログラム・オブ・プログラムズ」の基本的な理念である。

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