(伝農 浩子=フリーライター)
あなたは一生に何度、着物を着るだろうか。多くの人はハレの日に接するだけで終わることも少なくないだろう。しかし、本来は「服」である。ちょっとした場や、時にはビジネスの場にも着られることも。2005年に『パリジェンヌの着物はじめ』を執筆した、プロデューサーでエクスプリム代表のマニグリエ真矢さんはそれを「スーツのような着物」と表現する。今は場に応じてたびたび着物で出かけるまでになった。真矢さんは、着物を洋服のような感覚で着てほしいと思いつづけている。
外国人の着る着物は仮装!?

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「外国人でも似合う着物はある。着物を着て行けば?」
そんなひと言が、パリジェンヌのマニグリエ真矢さんの心に火をつけた。和服好きだった友人のイラストレーター、ゴトウヒロシさんと話す中で、翌日のフランス大使館で行われるパーティーに着物で行ったら、と勧められたのだ。7年ほど前のことだ。ゴトウさんはその場で知り合いの呉服屋さんを呼んだ。
しかし、真矢さんは、日本の着物は素敵だけれど、髪の色も体型も違う欧米人が着るとまるで仮装、似合うはずがないと、ずっと思っていたのだという。そして返した言葉がふるっている。
「そこまで言うなら、証明してみせて下さい。ドレスも用意して、似合わなかったらその場でドレスに着替えて行くから」
もちろん、自分が似合わないと思う服を着て行きたくはないもの。断る余地を残しておきたい気持ちは分かる。真矢さんは、訪問先、目的、好みなどを2時間かけて伝えた。
「私も中途半端なものを着て行きたくはないし、そんな簡単に言うことではなく、それだけの根性を持って言ってくれているのか、という気持ちもあったんです」
そして、翌日、見事に気に入る着物を用意してくれたのだという。それから間もなく、自分の着物を仕立てようと再訪した際には、着物から小物までひと揃い選ぶのに、5時間を要した。
「注文の多いお客さんですよね。それでも『大丈夫、あなたにぴったりのものがある』と言ってくれる。プロですから。うれしいですね。その出会いがなかったら、買ってなかったでしょうね」
なかなか首をタテに振らない真矢さんに渋々付き合うどころか、気に入るものを見つけようと楽しんでくれたという素敵な出会いが、着物ライフの入口となった。
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