(小寺 信良=映像系アナリスト/コラムニスト)
文化庁は次世代DVD・ブルーレイディスク(以下BD)とその録画機への私的録画補償金の課金を4月1日から実施する方針を決めた。これに対してAV機器メーカーが強い反発を示しているため開始時期は流動的であるが、動きとしては課金の方向に向かっていることは間違いない。ブロードバンドの普及・大容量メディア低額化の時代にあって、コンテンツホルダー・著作権者とユーザー、それぞれの権利はどのようにして両立するかを考えてみたい。
どさくさ紛れでスタートした「ダビング10」ルール
文化庁は2月3日から3月4日まで、著作権法改正のためのパブリックコメントを募集した。具体的には、著作権法が規定している私的録画補償金の対象に、新たにBDとその録画機を加えて4月1日より施行する件に対する意見募集だ。
BDに補償金をかけるという話は、そもそも2008年6月ごろまで遡る。
当時、家電業界はBD録画機に「ダビング10」ルール(デジタル放送の著作権を保護するための仕組みのひとつ。1回のムーブと9回のコピーが可能だが、孫コピーはできない)を導入しようとした。ところが、TV局など権利者団体との折り合いが付かず、特需が見込めるオリンピック商戦までに間に合わないのではないかという懸念が広がっていた。そこで経産省と文科省の手打ちで、ダビング10を早期導入する代わりに録画補償金の対象にBDを加える、ということに決まったのである。
この合意に対して、家電メーカー側は歓迎の意を表明した。しかしダビング10ルールに消極的だった権利者側は「BD課金と刺し違えでは不服」としていた。ご存じのようにダビング10は、ほとんどどさくさ紛れのような格好で2008年7月からスタートしたが、権利者側は補償金を得ることができないでいた。補償金を確保するためには、著作権法の改正が必要になるためだ。つまり今度の(順当に行けば4月1日の)著作権法改正がそれに当たるわけである。