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デジタル時代にあえて中判フィルムカメラ(1)(1/5ページ)

「フィルム写真という文化」を次世代に伝えていくのは重要な責務です

2009.03.05

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(聞き手:諏訪 弘=フリーライター)

 今年3月中旬、富士フイルムより新しい中判フィルムカメラ「GF670 Professional」が発売になる。この時代に中判フィルムカメラというのも意外だが、驚くべきはその仕様である。レンジファインダー(距離計内蔵カメラ)でピントは手動。レンズは蛇腹、フィルム巻き上げはオートでなく手巻き、しかもレバーでなくノブ式……。
 スタイリングだけ見ればざっと50年は昔のカメラだ。だがこのカメラは、単なる懐古趣味で生まれたものではない。富士フイルムが掲げる「フィルム写真文化の継承」という重要な目的を担う戦略製品なのである。企画・開発を担当した石原慎治さんに話をうかがった。

中判フィルムカメラ「GF670 Professional」。販売価格は22万円前後になる予定
[画像のクリックで拡大表示]

特に反対もなく、スムーズにフィルムカメラの開発が決定

昨今これだけデジタルカメラが全盛になっているのに、どうして時代に逆行するかのようなフィルムカメラを開発・販売することになったのでしょうか。

石原 一言でいうと「使命感」ですね。フィルム写真という文化を次世代に伝えていくのは、我が社の重要な責務だと考えているからです。

富士フイルム・プロフェッショナル写真グループ担当部長の石原慎治さん

 確かに、「記録」という点ではデジタルカメラのほうがはるかに便利です。我々とてそれを否定するものではありません。しかし便利さだけを追求して、それで写真の楽しみが深まるかというと必ずしもそんなことはないと思う。フィルムならではの描写やアナログ的な操作などを楽しむことも、写真という文化を構成する大切な要素であるはずです。

 むろん我が社でもコンシューマー向けカメラはデジタルが圧倒的ですし、総売り上げに見るフィルムの割合も3%程度でしかない。だからといってこれは、デジタルがフィルムに卓越するとかいった筋のものではないのですね。デジタルとフィルムとは決して対立概念ではなく、むしろ車の両輪として写真文化の発展に寄与していくべきものです。

 「GF670 Professional」の企画が出てきたのは2007年頃のことだったと記憶しています。すでに世間的には「カメラ」といえばデジタル一辺倒でしたから、フィルムカメラでは大きなビジネスにならないことは明白でした。にもかかわらず社内には特に大きな反対もなく、ごくスムーズに稟議が通りました。それはやはり「我々はフィルム文化の担い手である」という自負が全社的に共有されていたからでしょう。「社内の猛反対を押し切ってどうにか開発に着手した」とかお話しできれば記事は盛り上がるのでしょうけれども(笑)。

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