緊迫する経済危機のさなか、ローマで開催されたG7において、中川昭一財務大臣が行ったもうろう記者会見により辞任に追い込まれた。世界中に醜態をさらし、失笑を買い、日本という国家のブランドイメージを著しく傷つけた中川前財務大臣が厳しい非難にさらされるのは当然のことだが、一連の報道はきわめて横並びかつ情報不足で、腑に落ちないことが多すぎる。
大臣秘書官はなぜ記者会見をさせたのか
最大の疑問はなぜ財務省は酩酊状態といっても良い状態にあった大臣に記者会見をさせたのか、だ。幸いにしてG7には日銀の白川総裁が同席しており、記者意会見にも2人そろって臨んでいたのだから、中川前大臣をホテルの部屋で休ませ、白川総裁一人で記者会見をするという判断がなぜできなかったのか。私がもし大臣秘書官なら酩酊状態の大臣が世界のメディアの前に身をさらすことなど、断固阻止する。そんなことは秘書官としてのイロハのイではないのか。
もしかしたら、財務大臣秘書官は意図的にあの醜態を世界にさらさせたのでないか、とさえ勘繰りたくなってしまう。財政再建を放り出した財務大臣のクビをすげかえる絶好の機会として、酩酊大臣の記者会見出席をあえて止めなかったのではないか。中川氏の後任を財政規律派の与謝野馨経済担当相が兼任すると聞けば、ますますそう思いたくなってしまう。
疑問の二つ目は、中川前大臣はG7の討議をどのようにこなしたのかだ。これに関する報道はいまのところまったくない。記者会見直前に、突如としてもうろう状態になっただけで、G7の討議では財務金融行政の最高責任者に求められる役割を果たせていたのだろうか。はなはだ疑問が残る。
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