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猪瀬直樹の「眼からウロコ」ビジネス

猪瀬直樹:妊婦の「たらい回し」問題で改善案(1/4ページ)

コーディネーター制度の導入、情報伝達の確実化を提案

2009.02.18

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 僕が座長を務める東京都の「周産期医療体制整備プロジェクトチーム(PT)」が、2月10日に、周産期医療体制の改善について検討している東京都周産期医療協議会(会長・岡井崇昭和大学医学部教授)に改善案を提案した。昨年12月、重症妊婦を複数の病院が受け入れ拒否した問題(いわゆる“たらい回し”)を解決するためにPTを立ち上げた。「たらい回し」の“現場”となった都立墨東病院、杏林大学病院や、昨年10月から「コーディネーター制度」を導入した札幌市などを視察したうえで、4回にわたる議論をつうじて問題点を整理してきた。

機能しなかった総合周産期母子医療センターとは?

 東京都では、普通の救急病院とは別に、母子の容体が危ないときに搬送される総合周産期母子医療センター(以下、総合周産期センター)として、都内9カ所の病院が指定されている。愛育病院(港区)、東京女子医科大学病院(新宿区)、昭和大学病院(品川区)、東邦大学医療センター大森病院(大田区)、日本赤十字医療センター(渋谷区)、帝京大学医学部附属病院(板橋区)、日本大学医学部附属板橋病院(板橋区)、都立墨東病院(墨田区)、杏林大学医学部付属病院(三鷹市)の9カ所である。

 総合周産期センターでは、かかりつけの産科医院では対応できない、NICU(新生児集中治療管理室)などを使った高度な周産期医療が行われる。NICUは、24時間体制で集中治療が必要な未熟児などに対して人工呼吸器などを備えたアクリル製の特殊な保育器。総合周産期センターは妊婦や新生児の緊急治療を担う、いわば「最後の砦」だ。

 しかし昨年10月、「最後の砦」が機能していない事実が発覚した。脳出血を起こした妊婦が、都立墨東病院など8病院に受け入れを依頼したが拒否された。9月にも、調布市内の妊婦が杏林大学病院など6病院に受け入れを断られる問題が起きている。一流の医療機関が集中している東京都で「たらい回し」問題が起きたということで、多くの人が驚いた。

 墨東病院のケースでは、当時、医師不足のため「レジデント」と呼ばれる研修医が1人しか病院に詰めていなかった。搬送依頼を始めてから1時間後に墨東病院の当直でない医師が緊急電話で呼び出されて登院し、ようやく受け入れが決まった。子どもの命は助かったが、母親は死亡している。

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