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“使えない高度”が現実になる時代に

松浦晋也の「宇宙開発を読む」テクノロジー

ついに起きてしまった人工衛星衝突
“使えない高度”が現実になる時代に(1/5ページ)

2009.02.16

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 2月10日、以前から懸念されていた人工衛星同士の衝突事故が遂に発生してしまった。世界標準時2月10日16時56分(推定値:日本時間11日午前1時56分)頃、シベリア上空788kmで、イリジウム社の通信衛星「イリジウム33」とロシアの軍事通信衛星「コスモス2251」が衝突した。衝突の結果、相当多数の宇宙ゴミ(スペース・デブリ)が発生した模様だ。

 これまで、軍事目的の意図的な衛星破壊実験は何回か行われているが、今回のような意図せぬ衛星同士の衝突は史上初だ。

 メディアの注目は「国際宇宙ステーションの安全はどうなるのか」「日本の衛星は安全なのか」というところに集まっている。しかし今回の事故で最も注目すべきは、今回の事故がもっともデブリの密度が高まっている高度800km付近で起きたということだ。

 スペース・デブリには、ある程度の以上の密度になると、デブリ同士が衝突して小さな破片をまき散らし、さらにデブリ密度高まるという悪循環が始まることが予想されている。

 以前から800km付近の高度では、すでに臨界を超えてしまっているのではないかという指摘が存在した。この高度は、地球観測衛星や低高度通信衛星などが使用している。今回の事故は、今まで便利に使用してきた高度800km付近の軌道が、デブリのために使えなくなる可能性が現実味を帯びてきたことを示している。

 今回のような衝突が起きると、発生したデブリは同じ軌道に留まらず、幅広い高度と軌道傾斜角に拡散する。今回発生したデブリには、高度500kmから1500kmぐらいにまで到達する楕円軌道に入ったものもあると推定されている。高度800km付近のデブリ密度が臨界を突破すると周辺の高度も影響を受ける。

 今後、相当厳密に、(1)打ち上げ時にロケット最終段などをデブリにしないような打ち上げ方法を取る、(2)衛星の寿命が尽きた時にデブリにならないように処理する──という対策を厳密に実施しなければならないだろう。さもなくば、人類の宇宙利用も宇宙進出も、デブリのために不可能になる可能性がある。そのためには、宇宙開発に興味を持つ発展途上国にも働きかけることが必要になる。

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