(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

震災時のトイレ対策として、「マンホールトイレ」を導入する地方自治体が増えた。下水道に直結したマンホールを用意しておき、いざというときその直上に簡易トイレを設ける仕組みだ。下水直結なので汲み取りなどの手間が省ける。ただしこれが有効に機能するためには下水道の耐震対策が不可欠。震災対策において下水道機能の維持は大きな課題のひとつだ。
震災時は「トイレ難民」の大量発生が深刻な問題になる。断水が起こると家庭などで水洗トイレが使えなくなるからだ。そこでトイレ難民は仮設トイレを使うことになるのだが、汚物が急速に溜まるため衛生状態の悪化を招いてしまう。実際、1995年の阪神淡路大震災ではバキュームカーの不足も露呈、問題になった。下水道の発達でバキュームカーの数が減っていたことが背景にある。
この問題は健康への二次被害も引き起こす。トイレに行くことを我慢する人が現れるからだ。2004年の新潟県中越地震では、自動車の中で避難生活を過ごしていた人の中にエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)で命を落とす人もいた。車内で長時間同じ姿勢を保ったうえ、トイレの使用を避けるために水分補給を減らしたことが原因と見られている。
内閣府の中央防災会議は昨年10月、首都直下地震のトイレ需給に関する試算を公表した。これによると、冬季の平日正午に東京湾港北部を震源にしたマグニチュード7.2の地震が発生した場合、地震発生から2時間後には東京23区内で81万人強がトイレに行けない状況になるという。
そこで近年、全国の地方自治体がマンホールトイレの導入を進めている。下水に直結しているため、汚物を直接流せる。つまり汲み取りの必要がない。











