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オバマが展開するアジア外交

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オバマを選んだアメリカ
オバマが展開するアジア外交(1/6ページ)

2009.01.20

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(越智 道雄=明治大学名誉教授)

誰がオバマを大統領に選んだのか

 日本は在日外国人がたったの200万人という今日の世界でも極めて珍しい外国人の少ない社会。そのため、多民族社会アメリカでの最初の黒人大統領誕生の背景は十分伝わらないようだ。

 オーストラリアに住むギリシャ系少女の例だが、自宅から路地づたいに大通りまで来ると、「さあ、ここからは私はオーストラリア人よ」と言い聞かせ、学校で1日“オーストラリア人をやって”、帰路、大通りから自宅への路地に入るとき、「ここからはギリシャ人よ」と、一息ついて帰宅した。このように、多民族社会では、国民の一人ひとりが「国内にいながら日々国境を越える」のが最大の特徴だ。

 さて、オバマも、“路地”裏で選挙運動をやっていたのでは埒(らち)があかない。“路地”裏に住む黒人有権者は全人口の13%しかいないからだ。何としても“大通り”で票を稼がないといけない。そこに住む白人有権者は74%もいるからだ。

 オバマの選挙対策の絶対命題は、大通りに出ながら、路地裏も抑えることだった。結果的に、オバマ52.8%、マケイン45.9%、7%弱という際どい小差ながら勝てたのは、白人男性票ではオバマ41%(マケイン57%)、白人女性票はオバマ46%(マケイン53%)のおかげだった。つまり有色人種票を結集し、その上に劣勢ながらも白人票が上乗せされて、どうにか勝てたのである。

 むろん、黒人のうち95%が彼に投票したが、ヒスパニックとアジア太平洋系の有色人種の基礎票に乗っかってくれた白人の中核は、「高給取りの白人男性」で、ゆとりと教養がある分だけ開けていたのである。これに、ミレニアルズ(Millennials:2000年紀最終世代)という1980年代以降生まれの若者たちが加わった。ベビーブーム世代と次の「X世代(ジェネレーションX)」の前半部分を両親とする新世代である。

 もっとも彼らは多民族構成に慣れた世代で、開明度も高い。民主党候補が負け続けてきたバージニア、ノースキャロライナ、フロリダなどの南部諸州でオバマが勝てたことは奇跡だったが、これには、開明度の極めて低い「キリスト教右翼」という集団が代替わりしたこと、しかも彼らの中でミレニアルズを中心に開明度が高まっていたおかげだった。

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