さわれば音が生きるお箏
無限の可能性に引かれ続ける
箏・三味線奏者 カーティス・パターソンさん(2)
(伝農 浩子=フリーライター)
(前回記事はこちら)
奈良の正倉院にも、その原型とされる楽器が残る箏(こと)。弦楽器奏者にチューニングは付きものだが、箏の場合は、糸を押さえて音階を決める柱(じ)が固定されていないため、曲を弾いている間にも振動で少しずつ移動することがあり、高度な音感を必要とする。箏の世界には生田流と山田流の2つの流派があり、生田流は角爪、山田流は丸爪と、使う道具や弾き方も少しずつ異なる。箏奏者のアメリカ人、カーティス・パターソンさんは、生田流の教師も務めている。

(Curtis Patterson)(HPはこちら)
箏の音が自分のルーツを呼び覚ました
古典から現代曲、オリジナル曲を幅広く演奏し、作曲もこなすアメリカ人箏・三味線奏者のカーティス・パターソンさん。作曲に込める思いはどのようなものだろう。
「曲を作ろうとか、こういう風にしようと意識的に思うのではなくて、音で遊んでる時に自然とでき上がった音階とかメロディを紡いでいくんです」
そして、生まれてきた音楽は、自身、少しケルト系のエッセンスが感じられるという。バグパイプのような響きを箏に取り入れてみることもある。
「尺八や笛、箏の音は、ケルト系の音楽に合うと思うんですよ。そして、自分では意識していないけど、私の父方のルーツはスコットランド系のアメリカ人。やっぱり自分の中にどこかルーツに引かれる部分があって、箏と合うんでしょう。それで自然とそういう曲ができるんですよね」
パターソンさんがルーツに持っていた何かが箏によって引き出され、音楽になった。逆に、ケルトのルーツを持つパターソンさんだから箏に引き寄せられたのかもしれない。
ピアノを続けていたら、できなかったタイプの音?
「できなかったですね。作ったのではなく、生まれて来た自然体の音楽だから。楽器と遊べば自然と面白い音が出てくる。そのため、即興演奏も重要なんです」
音楽家、演奏家として、ルーツも含め自分のことを知らなければならないと考える。同時に、演奏を通して自分のことをより考えられ、自分のことを考えることによって、演奏にも反映される、と。そして見つけた自分の音だった。
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