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医療崩壊 〜医師不足を切り口に〜(2)

医療の現状はどうなっている?

2009年01月10日  RSS  コメント(13件)

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松下政経塾 医療研究会(熊谷 大、北川 晋一、高橋 宏和、津曲 俊明)

(前回記事はこちら

 昨今声高に叫ばれるようになった「医療崩壊」を医師不足という観点から3回に分けて探る。今回の第2回では現場で見聞きしてきた医療現場の現状を紹介する。

赤字になる病院の収支

 日本全国には約9000の病院がある。2006年度、日本病院団体協議会の調べによると、医療費削減により全国の病院の43パーセントが赤字であった。

 政策投資銀行作成の資料によると、全国の一般病院の一施設、1カ月当たりの平均医業収入は約2億3700万円、それに対し医業費用は約2億5000万円である。すなわち、2億3700万円の利益に対して、2億5000万円の経費、費用がかかり、収支差額は約1300万円のマイナス(割合でマイナス5.5パーセント)である(*1)。

 昨今は公立(自治体立)病院の赤字が叫ばれている。実際、この資料によると、病院のうち公立病院だけが医業収支差額マイナス17パーセントと突出している。公立病院は住民のための幅広い医療サービスを提供するため、救急・小児科などの採算性の悪い分野も持たなければならないことが第一の理由であり、人件費の割合が高いことも特徴である。

 医業をやればやるほど赤字になるのが今の公立病院の現状なのである。

 収入から支出を引いたものが損益なので、収支が赤字であるのは収入が少ないか、支出が多いか、あるいはその両方かである。

 医業における収入、つまり医療費は公的に決められている。医療行為には公的に決められた値段(=保険点数)がついている。注射1本何点、手術1回何点というふうに決められており、これは全国一律のものだ。保険点数で問題として指摘されるのが、次の3点である。

1. 保険点数は実際のコストを考慮せずに決められていること
2. 未熟な医師による手術も熟練した医師による手術も同じ点数であること
3. 検査や手術をやればやるほど収入増になり、検査や診療の過剰を促す

 医療費抑制策のもと、2006年には診療報酬の大幅マイナス改定が行われた。収入に当たる診療報酬は減少したが、一方の支出側である人件費や物品購入費をそれに合わせて減らすことは容易ではないのが現状だ。

*1:『自治体病院の経営改革−なぜ、今、自治体病院か』財団法人日本経済研究所 日本政策投資銀行 吉田秀一氏作成資料より
吉田氏が作った資料は日本経済研究所のこちらのページ(正念場迎えた自治体病院経営)で見ることができる。

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