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松浦晋也の「宇宙開発を読む」


宇宙基本計画策定に向けて(2)

目指すべきはブートストラップ方式の産業立ち上げ、
初期段階での安全保障分野への傾斜は最悪の選択

2009年01月07日  RSS  コメント(14件)

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(前回記事はこちら

 宇宙基本法の目的は、宇宙開発を国家戦略と国民生活の両面に役立てることで宇宙開発そのものも進展させることだ。つまり利用と開発とが両輪となって相互に刺激し合うことで日本の宇宙開発を進展させることを狙っている。

 その一方で、日本の宇宙予算は限られており、その額は決して大きくはない。長年指摘されてきたことだが、GDP比で見ると世界的に見ても過小というレベルに留まっている。例え今後数年間、特例的な予算増があったとしても、この状況は根本的には変わらない。

 従って、宇宙基本法の下で作成される宇宙基本計画では、効率的な国家予算の投資が不可欠になる。「利用と開発とが両輪となって相互に刺激し合う」ことで、投資が成果を生み成果がさらなる投資を呼ぶ「ブートストラップ」効果が狙える分野に投資していくことが必要なのだ。

 残念ながら、現状で政界と産業界が狙っている安全保障分野への投資を増やすという手法では、成果がさらなる投資を呼ぶような拡がりは期待できない。むしろ初期段階における安全保障分野への傾斜は、現状で考え得る限り最悪の選択である。

宇宙分野の立ち上げのために最初に引っ張るべき“靴ひも”はどれか

 日本が宇宙開発を通じて、どのような未来を展望し、同時に世界においてどのようなポジションを得るかは、宇宙基本法の第1章の各条文に書かれている。つまり、

1)国民生活の向上/安全な社会の形成/災害、貧困などの除去/国際社会の平和と我が国の安全保障(第3条)
2)産業の振興(第4条)
3)人類社会の発展(第5条)

 宇宙基本法は第2章「基本施策」で、これらの目的の実現手段を以下のように規定している。

a)人工衛星利用システムの整備(第13条)
b)安全保障(第14条)
c)必要な技術開発の推進と施設や制度の整備(第15条)
d)民間の宇宙開発利用促進(第16条)
e)信頼性の維持向上(第17条)
f)先端的な利用と宇宙科学の推進(第18条)
g)国際協力の推進(第19条)
h)環境保全(第20条)
i)人材確保(第21条)
j)情報の管理(第22条)

 これらの実現手段は、(1)ハード/ソフト両面に渡る必要な宇宙システムの整備(a〜c)、(2)民間産業振興と国としての技術の維持向上(d)、(3)宇宙科学など先端利用の推進(f)──とまとめることができる。gからjまではそのための条件整備と言えるだろう。

 さらに(1)〜(3)は、国の施策→日本の産業振興と維持向上→国の施策にさらなる拡がりが出る、という流れを持っている。国の施策を通じて産業が回りだせば、自ずとその他の条件は付いてくるわけだ。

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