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1929年大恐慌をはじめ恐慌の歴史を知る

世界同時不況に備えよ――今この書に学べ!ビジネス

大規模バブルは経済覇権の移行の表れか
1929年大恐慌をはじめ恐慌の歴史を知る(1/5ページ)

2008.12.24

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宮島 理 (みやじま・ただし)

 今回の世界金融危機は、1929年に起きた世界大恐慌など過去の事例と比べられることが多い。「歴史の教訓」があるとすれば、それはどういうものなのだろうか。

 現在進行形の金融危機や、1990年代以降に起きた日本の「失われた15年」にとどまらず、もっと長い時間軸で見てみよう。すると、そこには無数のバブルとその崩壊、それに続く恐慌、不況が繰り返されている。

 『バブルの歴史 チューリップ恐慌からインターネット投機へ』は、バブルの歴史を網羅的に眺めることができる便利な1冊である。17世紀にオランダで発生したチューリップ・バブル、18世紀にイギリスで発生した南海バブル、19世紀にイギリスで発生した鉄道バブルなど、数多くのバブルが登場する。

『バブルの歴史 チューリップ恐慌からインターネット投機へ』
著者:エドワード・チャンセラー 訳者:山岡洋一 日経BP社 2520円

 いずれのバブルも、ブームを煽る噂、先物取引などレバレッジの高い取引の拡大、政府のブーム静観とバブル崩壊後の遅すぎる介入、といった共通した特徴が見られるという。バブルが弾けた後に、スケープゴートが必要とされる点も共通している。「投機家を代表する人物が世間のさらし者になり、資産を奪われ、刑務所に送られる」というわけだ。

 一方で、バブルを引き起こす「投機の精神」には、美徳も含まれる。「投機の本質は、自由と平等のユートピアを切望する叫びである。現代の経済制度を支える物質主義が冷たく、面白みに欠ける点、そして富の不平等をもたらさざるをえない点を補う役割を果たしているのである」と本書は言う。

 大規模なバブルは、「ひとつの国から別の国に、経済の覇権が移行するときに起こることが多い」との分析も興味深い。チューリップ・バブルは、オランダが世界貿易の中心になった時期に発生した。20世紀初めにアメリカで起きたバブル(後に世界恐慌へとつながった)は、アメリカが世界最大の工業国になった時期である。1980年代に日本でバブルが発生した時期は、日本経済が絶頂を迎え、アメリカを追い抜くと考えられていた。

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