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金利政策、不良債権処理、経営手腕を学ぶ

世界同時不況に備えよ――今この書に学べ!ビジネス

バブル崩壊後の金融当局の政策を検証
金利政策、不良債権処理、経営手腕を学ぶ(1/5ページ)

2008.12.22

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宮島 理 (みやじま・ただし)

 日本は過去の経験から、世界金融危機対策の「お手本」になれると言われている。平成バブル崩壊後の金融危機、デフレ、そして長引く不況によって「失われた15年」に陥った日本は、2005年頃に苦境を克服したとされる。

 現在の世界金融危機に対して、日本は過去の経験をどう生かすべきなのか。世界に向かって、「日本の教訓」をどう伝えるべきなのか。学者、政策担当者、経営者らが書いた本から、ヒントを探ってみよう。

 日本が「失われた15年」から脱したとされる2005年に刊行された『ポスト平成不況の日本経済』では、複数の学者による分析が行われている。

『ポスト平成不況の日本経済』
編者:伊藤隆敏、H・パトリック、D・ワインシュタイン 監訳者:祝迫得夫 日本経済新聞出版社 4410円

 1991年のバブル崩壊後、日本は巨額の公共事業を実施。財政赤字を膨らませてきた。一方で、金融緩和も続け、99年にはいわゆる「ゼロ金利」を、2001年には「量的緩和」を行った。本書は、これらの景気刺激策によって「全面的な金融危機や1930年代の大恐慌のような経済の崩壊を防いだのは確か」としつつも、その成果は薄かったとしている。

 特に、日本銀行の金融政策を批判。バブル崩壊後、日銀による金利引き下げが遅かったために、不況が長期化したとの見解を紹介している。少なくとも1994~95年に積極的な金利引き下げをしていれば、デフレは防げたという。また、2000年の「ゼロ金利」解除も誤りだったとのこと。

 全面的な金融危機は回避したが、日本はデフレに陥った。銀行は不良債権を抱え、深刻な資本不足となった。問題を先送りするために、いわゆる「追い貸し」を行い、本来市場から退出すべき「ゾンビ企業」を延命。日本経済はさらなる低成長、長期不況が続くという悪循環になっていったのである。2003年に竹中平蔵金融担当大臣が実施した金融再生プログラム(竹中プラン)によって、「有効な第一歩」を踏んだと本書は評価するものの、さらに銀行のリストラを推し進める必要があるとしている。

 本書の中でも興味深いのは、「『失われた十年』からの教訓:アメリカは日本のバブル後の失敗から十分に学んだか」と題された章。資産バブルが弾けた1991年の日本とITバブルが弾けた2000年のアメリカを比較している。

 日本と違ってアメリカでは、積極的な金融緩和政策がとられた。その結果、デフレに陥ることなく、2004年には景気が力強く回復。「日本の教訓」を役立てた証拠かもしれない、と本書は分析している。

 ただ同時に、本書は「ここ数年の間に、ある意味で日本が1990年代初頭に直面したものよりも、さらに難しい困難に直面するだろう」とも指摘する。アメリカが抱える財政と経常収支の「双子の赤字」が、遅かれ早かれ問題になるということだ。

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