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「癌化した資本主義」を金融工学が後押しする

世界同時不況に備えよ――今この書に学べ!ビジネス

モラルハザードが引き起こした今回の危機
「癌化した資本主義」を金融工学が後押しする(1/6ページ)

2008.12.22

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宮島 理 (みやじま・ただし)

 世界金融危機の出口はまだ遠く、世界同時不況も進行しつつある。どうして金融危機は起きたのか。世界経済はどうなるのか。各国政府は何をすべきなのか。今年発売された話題の本から、そのヒントを学んでみよう。

 そもそも世界金融危機が生じたのは、それに先立つ世界的バブルの膨張があったからだ。では、そのバブルはどのように発生したのか。今のところ専門家の間では、「投資機会の不足」と「金融工学」がその原因ということになっているようだ。

 『すべての経済はバブルに通じる』では、今回のバブルを「リスクテイクバブル」と呼ぶ。20世紀までのバブルと違って、リスクテイクバブルは「バブルを超えたバブル」であり、「キャンサーキャピタリズム(癌化した資本主義)」の現れだという。キャンサーキャピタリズムは「投資機会の不足と金融資本の自己増殖」によって生まれ、さらに金融工学がそれを後押しした。

『すべての経済はバブルに通じる』
著者:小幡績 光文社新書 798円

 リスクテイクバブルは、リスクを取ることの重みが失われ、安易にリスクの高い投資に手を出す人が増殖していくバブルである。通常の投資においては、リターンを得るかわりに、それ相応のリスクを引き受ける。世界金融危機の原因となったアメリカのサブプライムローンにも、借り手である信用の低い層(サブプライム層)がローンを返せなくなるリスクが存在した。

 しかし、サブプライムローンは証券という形で他の投資家に売られ、貸し手はリスクを自分の手元から切り離すことに成功した。その一方で、転売によるリターンは得られる。

 このような仕組みは、「リスクがリスクでなくなることが構造的かつ確実に起こるようにするシステム」であったと著者は指摘する。転売によって他人にリスクを押し付け、リスクテイクバブルが膨張。最後には崩壊した。

 本書は新書であり、世界金融危機について考える取っ掛かりとしては、非常に読みやすい。

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