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人をひきつける会社:エンジニアの理想郷を求めて(1/6ページ)

エリジオン(1)~地方都市の中小企業が東大卒の若者を魅了する理由~

2008.12.12

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(取材・文=荒川 龍)

 3次元CAD(コンピューターによる設計)データの変換ソフトで、世界シェアトップの35パーセントを握る企業が静岡県浜松市にある。社員数74名(2008年10月末)のエリジオン。全社員中33名を、小寺敏正代表取締役社長(55歳)も含めて東京大学出身者が占める。1999年創業で平均年齢約31歳と若く、経常利益率は平均30パーセントを超える。地方都市の中小企業が、東大卒の若者を引きつける理由と、その強さを探る。

取引先は国内外2800社

 「独創、そして独走」──フランス・ルノーF1チームのマシンを全面に使い、そう大書された広告が目に留まる。東海道新幹線「浜松」駅のフォームから階段を下り、1階改札口に向かう中二階。エリジオンは、03年からルノーF1チームの公式サプライヤーになっていて、そのマシン左下に「ELYSIUM」と社名が明示されている。

 自動車の生産工程では、3次元CAD以外に、金型製作のCAM(コンピューターによる生産)、CAE(コンピューターによるエンジニアリング)などのシステムが導入されている。だが、各工程に関わる企業間で、異なるCADソフトを使用している場合が多い。つまり、それらのCADデータを正確、かつ迅速に相互共有できる変換ソフトが必要になる。

 そこで強みを発揮するのが、変換率99パーセントを誇るエリジオンのCADデータ変換ソフト。小寺社長によると、ルノーのF1マシンの場合、同社製変換ソフトを利用したことで、レース後のデータ解析が、従来の2週間から約3時間半にまで一気に短縮されるなどの効率化が進んだという。米国フォード社は、CADデータ交換技術を持つ世界10社のソフトの中から、約3年かけて性能審査を行い、04年からエリジオン社製ソフトを採用。今も独占供給契約を結んでいる。国内ならトヨタ、日産も主要取引先。

 自動車だけに限らない。製造業はその業種や企業によっても、採用している3次元CADソフトは異なる。同CADメーカーは世界に40社近くあり、それぞれのデータを高い変換率で処理できるエリジオンへの評価は、海外でも高い。ロケット開発ではNASA(アメリカ航空宇宙局)や米国ボーイング社、携帯電話などを製造する電機メーカーなど、その取引先は国内外2800社。売上高の内訳は欧米4割、国内6割。3次元CADデータの変換ソフトというニッチ市場ながら、世界シェアは35パーセント。シェア10数パーセントで第2位の英国企業を大きく引き離して、世界トップを独走中だ。

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