(中村 正三郎=著述家/プログラマ)
Yahoo! JAPAN (以下、企業を指すときは「Yahoo! JAPAN」、同社の検索サイトは「ヤフー」と表記)は12月上旬より、広告の新展開としてダイレクトレスポンスの手法を取り入れる。かねてより同社が得意としていた行動ターゲティング広告(ユーザーの検索履歴などを元にして的確な広告を提示し、訴求効果を高める手法)は、その精度を一層増すことになる。
広告収入によって成り立っているYahoo! JAPANにとって、より効果的な広告手法を開発・採用するのは当然のことだし、また商品の購入意志のあるユーザーにとっても便利なことではあろう。しかしそれは、かつてSFの世界だけの話だった超管理社会の幕開けでもある。
ネット上ではSF映画の世界が実現している
まずは行動ターゲティング広告について簡単に触れておこう。
広告の効果を上げるには、何が有効か。よく知られているのは、個人の趣味嗜好を調べ、それに合った広告を出すと、その人は商品を買いやすいということだ。たとえばヤフーで「日経BP」と検索をかけると、結果表示画面には「定期購読のご案内」「日経BPの本を買うなら」といった日経BP社がらみの広告が出る。
これが行動ターゲティング広告の基本的なやり方だ。検索キーワードに応じた広告を出せば、かなりの確度でユーザーはバナーをクリックするはずだ。ひいてはそれがYahoo! JAPANの収益につながる。
Yahoo! JAPANは行動ターゲティング広告に熱心で、2006年1月のテストマーケティング開始以来、さまざまな手法を使っている。2008年9月中間期は行動ターゲティング広告が好調で、経常利益が12.6%増えたと発表した。これに気をよくしてのことだろう。先日Yahoo! JAPANは「行動ターゲティング広告にダイレクトレスポンスの手法を取り入れる」と発表した。
「ダイレクトレスポンス」とは、具体的にはこういうことだ。ヤフーでの検索履歴・ヤフー内の特定ページの閲覧履歴・広告主が出稿している広告のクリック履歴・広告接触に基づく各ブラウザーの行動履歴を数値化する。さらに「最近アクセスのないユーザーには配信しない」「直近の行動に重みをつける」といった手法を組み合わせる。
するとどうなるか。端的にいえば、よりピンポイント的な広告表示が可能になるのである。