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NHKが12月からオンデマンド事業を開始(3/4ページ)

2008.11.26

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 好きなときに好きな番組が見られるということになれば、敢えて局の編成時間に合わせてテレビの前に座る必要もなくなってしまうだろう。オンデマンド視聴が増えれば増えるほど本体の放送が危うくなるのは火を見るよりも明らかである。見る人が少なくなれば企業の広告投資も減ってしまう。コンテンツの再利用で儲けようという魂胆が、逆にテレビ局本体の命取りにもなりかねない。

 「テレビ局本体の命取り」は、企業広告に頼る必要のないNHKとて同様だ。民放にとっては垂涎の的というほどの膨大なアーカイブを持つNHKも、このオン・デマンドビジネスが成功して誰もがパソコンでアクセスすることでしかNHKを見なくなってしまったらどうなるか。受信料への疑問も再燃してくるに違いない。

オンデマンドの特選リスト1000タイトルに魅力はあるか

 第三の問題点は、NHKが50数万という過去の膨大なコンテンツを持ちながら12月から始まるオンデマンドの特選リストには僅か1000作品しかリストアップできなかったという事実である。

 一般に映像コンテンツにはたくさんの権利保持者がいる。出演者はもとより、構成作家やプロデューサー、カメラマン等などもそうだ。だから制作年度が古くなればなるほど著作権や肖像権のクリアは難しくなる。権利保持者の中にはさほど有名でない人や一般人もいる。こうした人(あるいはその遺族)を見つけ、連絡を取るだけでも一苦労なのだ。

 これから作る新しい作品はあらかじめ番組を制作する際にオンデマンド・ビジネスに使用する可能性を契約の中に含めておくこともできるだろうが、過去の作品の場合には気が遠くなるほどのクリア作業が必要になる。こうしたことが重なって特選リストが揃わなければ、視聴者としてはわざわざNHKのサーバにアクセスするだけの魅力すら失う。そうなってしまったらこのビジネスは立ち枯れてしまうだろう。

 NHKのオンデマンド事業は、魅力的な特選リストを備えるために、オンデマンドでリピート率が高くなるような質の高い作品をより多く制作する以外に道はないだろう。だがそれに徹すれば徹するほど放送における本質的な「生の魅力」は失われてしまう。

 ひとつの特選作品の視聴料金は300円と聞いているが、この金額は著作権や肖像権クリア料とその連絡手続きなどに掛かる手間の大きさを考えたとき、果たして採算は合うのかと危惧してしまう。まして視聴者からのアクセス・ニーズが少なければどうするつもりだろう。

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