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松浦晋也の「宇宙開発を読む」


三菱重工、初の商業打ち上げ受注(1)

山積する課題をどう解決するのか

2008年11月10日  RSS  コメント(0件)

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 2008年10月31日、韓国航空宇宙研究院(KARI)は、開発中の地球観測衛星「アリラン3号(KOMPSAT-3)」の打ち上げの国際入札で、三菱重工業(MHI)が優先交渉権を獲得し、契約成立に向けた最終交渉に入ったことを明らかにした。優先交渉権の獲得は、交渉が契約面での細かい詰めに入ったことを意味するので、MHIが初の商業打ち上げ契約を獲得することはほぼ間違いないだろう。

 アリラン3号は、2011年夏に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星「GCOM-W1」と相乗りで、太陽同期極軌道へ打ち上げることになる。受注価格は公表されていないが、報道によると20数億円、あるいは130億ウォン(1ウォン=0.08円換算で10億4000万円)という数字が出ている。いずれにしても破格のダンピング価格だ。

 MHIは、2007年にH-IIAロケットの民間移管を受け、同ロケットによる商業打ち上げ市場進出を目指して、営業活動を展開してきた。今回の受注で、今後のビジネス展開に期待する向きもあるが、実際問題として過当競争状態にある国際市場の一角に食い込むのはそう簡単ではないだろう。

 なによりもアリラン3号は極軌道に打ち上げる小振りの衛星であり、主な市場である大型静止衛星打ち上げ受注に向けては、まだまだ問題山積状態だ。アリラン3号を確実に打ち上げて、やっと欧州、ロシア、中国などとの競争に参加するスタート地点に立てるというのが実情である。

ロシア宇宙機の価格高騰がプラスに働く

 商業打ち上げでは、(1)打ち上げ価格(安いほどよい)、(2)確実性(成功率が高いほど良い)、(3)正確性(狙った軌道に精度良く衛星を投入できるか)、(4)定時運行(カスタマーが指定した時期に打ち上げられるかどうか)、(5)利便性(衛星を簡単に射場に持ち込めるか、射場での衛星整備施設が整っているかなど)――の5点が問題となる。

 H-IIAは、世界のライバルと比較すると、軌道投入精度以外のすべてでハンデを背負っている。打ち上げ価格は射場維持費用をJAXAが負担している現状でも、1機90〜100億円程度で決して安くはない。実績ベースの成功率はこれまでに14機を打ち上げて1機失敗の93%。まだ、世界的に設計上の基準とされた95%に届いていない。

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