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マネーの時代の終わり

2008年10月14日  RSS 

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(桐原 涼=経営評論家)

マネー崩壊!

 米国発の金融危機が、世界を覆い尽くしている。米国のダウ平均株価が1万ドルの大台を割り、日経平均株価も1万円の大台をあっさりと割った。今我々が目にしているのは、マネーのバブルが急激に収縮していく姿だ。

 先週末(10月10日)時点のTOPIX(東証株価指数)は841で、過去1年間で50%も下落した。これはバブル崩壊当時の1989年12月から1年間の下落率(45%)を上回る。バブル当時は「明らかに上げ過ぎ」との認識が市場にあったのに対して、今回は「やっと低迷を抜け出した」程度の状況で株価の崩落が進んだ。この意味では、株式市場の重症度は、バブル崩壊時より深刻だと言ってよいであろう。

マネーの膨張と収縮

 今回の金融危機によって、我々は次の二つの事実を改めて認識することになった。あるいは、思い知らされたと言った方がよいかもしれない。その一つは、グローバル化の現実である。今や地球は、マネーの水脈を通じて隅々までつながっている。米国の住宅価格高騰は世界中にバブルをばら撒くし、米国の信用収縮は世界中のマネーを縮ませる。

 もう一つは、マネーの制御が困難であるということだ。今回の金融危機に際して米国の金融当局は、日本のバブル崩壊時と比べて、遥かに迅速な手を打った。にもかかわらず、当局は危機の封じ込めに失敗し、危機は日に日に深刻の度合いを増していった。

 マネーの膨張は著しく、今や実体経済をも翻弄するパワーを持つに至った。世界の金融資産の総額は、昨年時点で1京円(1兆円の1万倍)以上と見積もられ、世界のGDPの数倍の規模に達していた。しかも世界中のマネーは、瞬間的に共鳴し、一斉に動く傾向がある。もはや米国政府をもってしても、マネーの奔流を止めることは不可能だ。

 グローバルマネーが急激な膨張を始めたその出発点に、世界経済の発展があったことは確かであろう。経済の拡大がマネーを成長させ、マネーの拡大が実体経済を成長させるという拡大再生産のメカニズムが働き、マネーの成長に拍車がかかった。それに留まらずマネーはいつしか、実体経済の頸木を離れ、自己増殖を始めた。マネーの拡大が投資家を潤し、それが更なるマネーの膨張を促すというマネー単独の拡大再生産のサイクルが、はじめはゆっくりと、そして時間とともに加速し、最後は急速に回転したのである。

 留まることを知らないマネーの膨張は、やがて実体経済をきしませることになった。原油市場に巨額のマネーが流れ込み、原油相場は瞬間的に高騰した。そしてマネーの膨張がもたらす歪みが臨界点に達し、バブルがはじけた。マネーの拡大再生産のメカニズムは逆回転し、制御不能のまま暴走している。

 マネーの過剰な膨張が、今度は過剰な縮小に向かっている。このような「マネーの反乱」が実体経済に残す傷は、決して小さくないであろう。

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