(取材・文=戸田 覚 写真=中島正之)
「プレゼンテーションでは色がいかに重要か?」 ぜひともそんな話を聞きたいと思い、デザイナーの山本寛斎氏の事務所を訪ねた。ご存じのように、寛斎氏は今年日本で開催された洞爺湖サミットの総合プロデュースをはじめ、国際博覧会や世界各国のイベントで数々のプロデュースを務めている。その氏に「プレゼン」についての質問を投げかけると、意外な…いや、まさしく寛斎氏らしい答えが返ってきた。
どんな服装で現れるのだろうか――山本寛斎氏を待つ間、少し高揚した気分でそう思っていた。
事務所からして、我々のような効率一辺倒のビジネスの世界とは違う。エレベーターを降りると、知人からプレゼントされたというエスニックな雰囲気の人形が我々を出迎え、壁紙も部屋ごとに色分けされている。個室ごとに「ブルールーム」といった名前が付いているのだ。
寛斎氏のいでたちは、写真でごらんの通り。普段、くすんだ色のスーツの方ばかりにお会いしている僕は、予想をしていたとしても、やっぱりはっとさせられた。
残念ながら写真で伝わらないのは、彼の持つ雰囲気である――これを一般にオーラと言うのだろう。大企業の有名な社長にインタビューする際にも、場の空気が張りつめるのだが、寛斎氏は少し違う。前者はオーケストラの会場にでもいるかのような緊張感があるものだが、寛斎氏はミュージカルの幕が落ちる寸前とでも言おうか。緊張感とともに、華やかな空気が部屋を満たす。

つまり、この時点でプレゼンテーションが始まっているのだ。
「私は、プレゼンという言葉を広い意味でとらえています。自分自身が生きて活動することを、日本国やその他世界の国々に表現すること全体だと考えています。つまり、自己表現とでもいいましょうか。感覚で訴えたり、言葉で訴えるなど、いろいろな訴え方があるのですが、私は全人生をかけて訴えていると言っても過言ではありません」
こちらの1つ目の質問“プレゼンの回数は多いのでしょうか?”というのはいかにも野暮であった。山本氏の口からなら「人生がプレゼン」という言葉が出ても、3秒で納得してしまう。だが、寛斎氏は、きちんと取材意図をくんで、我々がよく行うプレゼンについての話をしてくれた。




