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肥満は“体内時計”の乱れが原因?

2006年03月20日

 「夜食べると太る」とは、ダイエットでよく聞く話だが、最近、不規則な生活による“体内時計の乱れ”が肥満に関与していることが、明らかにされつつある。



 人の場合、体内時計は24時間ではなく、実は約25時間を1周期として動いている。しかし、朝に2500ルクス以上の光を浴びて、網膜が刺激されると、その時点で「朝」として体内時計がリセットされる。このため、1日24時間に生体リズムが対応できているというわけだ。



 しかし体内時計は、昼夜交代勤務や夜更かしなど、起床や入眠の時刻が不規則になることで乱れてしまう。もちろん、海外への旅行などでも、体内時計は乱れる。このように、現代社会は、体内時計が乱れるような状況に遭遇しやすい環境にあるといえよう。



 体内時計は、生体内のあらゆる機能調整に影響を及ぼすことが分かってきている。肝臓などの体のさまざまな器官は、体内時計に合わせて活動している(参考記事:なぜ目覚まし時計の直前に目が覚める?)。このため、体内時計が乱れれば、これらの体の器官の活動も乱れてきてしまう。体内時計による生体リズムが狂うと、がんにかかりやすくなる可能性も以前から指摘されている(参考記事:昼夜交代勤務で3.5倍の“前立腺がん”リスク)。



体内時計が狂うと「レプチン」の分泌が低下



 帝京大学薬学部助教授の厚味厳一氏によると、「我々の研究では、遺伝的に体内時計が狂っているマウスの場合、正常なマウスにみられるレプチンの1日周期の濃度変化が見られず、さらにレプチンの分泌量も低いことが分かった」という。



 レプチンは、脂肪細胞が分泌するホルモンだ。食欲をなくす「満腹物質」としての機能のほか、糖や脂肪を燃やしやすくするという機能がある。つまり、ダイエットには欠かせない物質といえよう。



 食事を十分に取ると、血中のレプチン濃度が高くなり、脳の「視床下部」が刺激され、大脳が「満腹」と感じる。また、脂肪や糖の消費量、つまりエネルギーの代謝量が高くなる。逆に、血中レプチン濃度が下がると、満腹感は消え、エネルギーの代謝量は低くなる。



 実際、米国の研究グループからは、遺伝的に体内時計が狂っているマウスは、正常なマウスに比べて太りやすいことが報告されている。体内時計が狂っているマウスでは、レプチン濃度が低くなることが分かっている。つまり、レプチンの濃度が常に低いということは、エサを十分に食べても満腹を感じにくく、普通のマウスより、多くのエサを食べてしまう可能性があるというわけだ。



 これを、人間にあてはめて考えると、昼夜交代勤務や夜更かしなどで体内時計が乱れた状態にいると、夜食をつい食べ過ぎたりするなど、太りやすくなってしまう可能性が考えられる。



 ただし、「米国の報告だけでは、体内時計の乱れが肥満の原因になるとは言い切れない」と厚味氏は話す。なぜなら、厚味氏らの研究では、レプチン濃度が低くても、体内時計が狂っているマウスはやせてしまったからだ。厚味氏が使ったマウスは、米国のグループが使用したマウスと、日本のマウスをかけ合わせて作ったもの。「理由は明確には分からないが、遺伝要素の違いで結果が異なったのでは」と厚味氏は推測している。



 現在、この分野はまさに研究の途中で、体内時計の影響を受ける物質が全て解明されているわけではない。つまり、肥満に関係する分泌物は、レプチン以外にも存在する可能性があるというわけだ。



 とはいえ、起床や睡眠の時刻が一定でない不規則な生活は肥満につながりやすいことは確かなようだ。規則正しい生活を送り、朝、起きたら、十分に日の光を浴びて体内時計をリセットすることがダイエットには欠かせないと言えるだろう。



(田村 嘉麿=健康サイト編集)



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