生き延びるには医療機関も「良いサービス」が必要
最近、医療機関へのクレームが増えています。ただ、これは医療機関の問題だけではないようです。
例えば、2005年11月17日の日経新聞の記事には、東京・歌舞伎町のキャバクラに勤める女性(27歳)が「美容院で希望に反して髪を短くされ、収入が減った」として慰謝料など600万円を請求、東京地裁で慰謝料約24万円の支払いを命じる判決が下されたとの報道がありました。
この判決のポイントは、美容師が十分な確認を怠ったことにあるといいます。実はクリニックも、このようなトラブルに真剣に対処しなければならない時代にきているのです。
ところで、皆さんは全国にコンビニエンスストアが、何軒あるのかご存知でしょうか? 約4万軒なのです。一方、クリニック、すなわち診療所の数は9万件をはるかに超えています(ベッドのある有床診療所、ベッドのない無床診療所の総計)。また歯科診療所も6万件を超えているのです。

最近、コンビニエンスストアの閉店が目につくと思います。コンビニエンスストアは、1972年に日本で最初の店舗が誕生して以来、豊富な品ぞろえと、深夜でも手軽に買い物ができる便利さが、学生や1人暮らしの世帯の支持を得て、飛躍的に店舗数を増やしてきました。
営業時間が長く、調理済みの食料品や日用雑貨など必要なものを早朝でも深夜でも購入できるコンビニエンスストアは大変便利ですが、その店舗数は減少に転じました。コンビニで受けることができる画一的なサービスが飽和したためともいえます。
数ではすでにコンビニをはるかに超える診療所も、何かほかの診療所との違いを考えていかないと生き延びることができない時代に来ているといえましょう。ここで、そのほかとの違いに、「良いサービス」が挙げられます。
2005年8月のことです。入院先の産婦人科医院で、飲酒した医師により出産後の処置をされ、精神的苦痛を受けたとして、福岡市の37歳の女性が医院を運営する福岡の医療法人に300万円の損害賠償を求めました。
担当医が出産には立ち会わず、その直後に酔った状態で現れ、傷口の縫合手術をしたというのです。女性は手術跡に痛みがあったため、同月4日に再手術を受けました。この訴訟に対する裁判が福岡地裁で行われ、当該医療法人が10万円を支払い、謝罪することなどで和解が成立したといいます。
一般的にいえば、「酔って現れる」というのは、びっくりする話かもしれません。しかし、医師の中には、「まだそんなことがあったのか」という程度の反応をする人も多いと思います。少し前までは、当直室にビールなどのお酒が置いてある状況というのは決して珍しいものではなかったからです。しかし、こんな医師は、今後は存在し得ないでしょう。診療所も医師も、淘汰の時代を迎えているのです。
今の世の中で、1回しか医師にかかったことがないというのは、よほど健康な人か、若い人でしょう。そうでない人は、もちろん医療の中身まではわからない場合も多いとは思いますが、診療所での経験をもとにその診療所のサービスを自分で評価することができるはずです。どこも同じだと持ったら間違いなのです。

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