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大人で増えている「はしか」にご用心

2006年02月02日

 はしか(麻しん)は、ウイルスの感染によって起こる小児期の代表的な感染症の1つ。この病気は、これまで大人がかかるケースはまれと考えられてきた。ところが最近、はしかにかかった成人患者の報告例が増えているとして、注目されている。



 はしかは、大人がかかると重症化することが多いといわれている点も見逃せない。はしかを軽い病気と思っている人は少なくないかもしれないが、実は日本でも50年前には、子どもを中心に毎年数千人規模の死亡者が出ていた。今でも、毎年数十人もの子どもが、重い合併症を起こして死亡しているほど怖い感染症なのだ。



 はしかが怖いのは、ウイルスが体の免疫系の中心となるリンパ球などで主に増殖するため、一時的な免疫不全とも言える状態になってしまうこと。このため、肺炎や脳炎といった、重い合併症を起こすことがあり、これがはしかによる死亡の大きな原因となっている。麻痺など、神経系に重い後遺症が残ることもある。



 はしかの約3年間分の報告数を年齢別にみると、報告数は1歳児が最も多く、1万5000人以上に上る。一方、15〜19歳の患者も2000人以上、20歳以上の患者も1500人を超える。乳幼児のみがかかる病気とは、到底言えない状態だ(参考記事:20歳以上が約15%もいる「風しん」)。軽症の人も入れると、実際の成人患者数は、もっと多いと予想されている。



肺炎や脳炎などの重い合併症も



 はしかにかかると、まず、38℃前後の熱やせき、鼻水、結膜炎による充血や目やになどが出てくる。数日後、頬の内側に白い斑点ができ、1〜2日たつと、頭部から全身へと赤い発疹が広がっていく。発疹は、皮膚から盛り上がって、複数がくっついた形になるのが特徴だ。



 治療では、麻しんウイルスを直接殺す薬はないため、解熱薬などによるいわゆる“対症療法”が中心となる。1週間程度で治ることがほとんどだが、約1000人に1人の割合で脳炎を合併し、その場合、15%が死亡するとされている。



 大人でもこういったはしかの症状は同じ。高熱やひどいせきに加え、肺炎や肝機能障害を来して、1週間近くもの入院が必要になったりする。妊娠中の女性では、早産や流産に至った例も報告されている。



 さらに、大人の場合、はしかだと診断が付きにくいという問題もある。小児科ではない内科の医師では、風邪にも似た高熱やせきといった症状から、はしかと診断するのは難しい。また、発熱の数日後に発疹が出るため、その間に飲んだ市販薬が原因だなどと思いこんでしまう人もいるとみられている。



ワクチンは約10年しか保たない?



 なぜ、大人がこうした感染症にかかるようになったのだろうか。その原因として、ある程度、予防接種が普及した結果、地域での自然な感染症の流行が少なくなり、ウイルスに接する機会が減ったことが指摘されている。



 ワクチンは、接種により免疫を得た後、徐々にその効力が落ちていくものだ。これまでは、自然な周囲での流行によってウイルスに何度か接する機会があり、その度に免疫が強化されてきた。しかし、流行が少なくなった結果、現在、予防接種の効果は、接種後10年程度しか期待できなくなっているという。



 つまり、子どもの頃にはしかの予防接種をしていても、決して安心できないということになる。風邪のような症状であっても、油断は禁物といえそうだ。



(小又 理恵子=健康サイト編集)



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