再編促す年末テレビ商戦、焦るソニー、シャープと松下が大画面で激突
年末商戦のピークに突入した12月4日の日曜日、家電販売の激戦区である東京・新宿西口は、小雨にもかかわらず熱気に包まれていた。最大の目玉は薄型テレビ。ビックカメラ新宿西口店では午後3時を過ぎた途端、「タイムセール」と書かれたビラが次々と張り出され、一気に15%近くも値引きされた液晶テレビもあった。
薄型テレビの値段は、今や普及の目安とされていた「1インチ(型)=1万円」を大きく下回る。最も価格競争が激しい32型では、1インチ=6000円も珍しくない。1年前と比べて3割以上も安い。
各店を回ると、今年の薄型テレビ商戦の2つの特徴がくっきり見えた。1つは、ソニーが薄型テレビのブランドを「WEGA(ベガ)」から「BRAVIA(ブラビア)」に刷新して、なりふり構わず販売攻勢を仕掛けていること。そしてもう1つが、液晶の雄・シャープが、プラズマテレビの“縄張り”に攻め込んでいることだ。
ソニーの「稲沢産」とは何?
ソニーにとって、この年末商戦は低迷するテレビ事業の再生を占う試金石だ。そのため、まずは価格面でシャープの「AQUOS(アクオス)」とつばぜり合いを繰り広げている。32型の低価格モデルでは、両社ともに約19万円だった。
さらに、ブラビアの売り場からはソニーの焦りも透けて見える。その象徴が、値札の横に張られた「愛知県稲沢産モデル」と書かれたビラだ。
薄型テレビの“産地”をブランド化する取り組みは、シャープの「亀山産」が元祖である。液晶パネルからテレビまでを一貫生産している三重県の亀山工場をブランド化し、「国産だから高品質」というイメージを打ち出した。
一方、ソニーはパネルを韓国サムスン電子との合弁工場から調達し、稲沢工場でテレビに組み立てている。一貫生産ではないにもかかわらず、「シャープの物真似」とも思われかねない産地表示作戦に打って出たのは、何としてでも“韓国製”との印象を払拭したいという、ソニーの崖っぷちの状況を示している。
「32型の値崩れが37型に及び、液晶とプラズマの棲み分けができなくなった」。経済産業省の幹部は、プラズマテレビ市場の先行きを、こう心配する。松下電器産業などプラズマの縄張りだった大画面市場に、シャープが本格的に攻め入ってきたからだ。
松下は、「大画面はプラズマの方が安くできる」(パナソニックAVCネットワークス社の森田研上席副社長)と、37型以上はプラズマ優勢と主張してきた。しかし既に37型の一部の機種で、シャープの液晶アクオスは松下のプラズマ「VIERA(ビエラ)」より安くなっている。
シャープが狙うは松下の牙城
シャープは来年10月にも、40型以上の液晶市場の拡大に備え、亀山第2工場を新たに稼働させる。松下は急ピッチで増産体制を築きコストを下げ、シャープを迎え撃つ構えだ。今年9月に兵庫県尼崎市でプラズマパネルの新工場を稼働させ、月産30万台体制を構築。来年7月には4カ月前倒しで、月産42万5000台に引き上げる。
液晶陣営への松下の対抗は、他のプラズマメーカーも蹴散らすほどだ。プラズマパネルの生産能力は、日立製作所やパイオニアの3〜4倍にも達し、プラズマテレビのシェアでも国内量販店で6割超を押さえている。
シャープ、ソニー、松下の激烈な競争は、下位メーカーを疲弊させる。液晶とプラズマの垣根崩壊は、商品戦略の見直しも迫る。パイオニアが提携などを含めた構造改革に着手するなど、年末の家電店に並ぶテレビは業界再編の構図をも示唆している。(大竹 剛)
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