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楽天は不合格? TBSがアマゾンと組んだ真の理由

2005年10月28日

楽天から経営統合を提案されたTBSが11月、インターネット物販大手、アマゾンジャパンと組み、放送とネットを融合させた新サービスに乗り出す。リモコンを使い、テレビ画面上でアマゾンのネット通販を使える民放初の試みだ。TBSがここにきてアマゾンと組む理由。その裏事情を探ると、統合効果を強調する楽天に、暗黙の“不合格通知”を送っていることが分かる。


統合案より前に企画


「この企画は電通、アマゾンと1月から検討してきた。あくまで楽天の提案より前の話で、急に決めたわけではない」。TBSテレビの山口恩門営業開発部次長はこう話す。


新サービスを行うのは、TBSの土曜の人気情報番組「王様のブランチ」。番組内で紹介する本やDVDなどの情報を、地上デジタルデータ放送で画面に表示。視聴者はアマゾンのサイトと連動した画面を見ながら、リモコンで商品の検索、注文や購入ができる。


注目すべき試みが、「番組マイレージサービス」だ。番組を見ると、時間数に応じてマイルがたまるもので、特にCMを見るとボーナスマイルがつく。ためたマイルは景品に交換でき、将来はネット通販会社の商品購入にも使えるようにするよう検討する。


テレビの集客力を生かし、アマゾン側は販売増が、TBS側は手数料収入が見込める。さらにポイント制の導入で視聴者を囲い込み、広告主が嫌がるCMの飛ばし見を避ける――。そんな一挙両得の狙いがある。


期間はまず11月16日から1カ月。対象世帯数もまだ限られた実験的な扱いだが、うまくいけば番組を広げるほか、事業化を検討するという。


なぜアマゾンなのか。「実は楽天も含めて様々なネット企業を比べたが、アマゾンが最適だった」。同テレビ技術局の原田聡企画開発部長は明かす。


アマゾンが技術情報や商品データを公開しているため、システム開発がしやすかったほか、多数の店舗が併存する楽天のようなモール運営会社よりも、1社で完結し、しかもネット書籍販売トップのアマゾンがベストと判断したようだ。つまり楽天は、販売提携の“適性試験”に落ちたというわけだ。


「さらに」と山口氏は続ける。


「1社独占は逆効果。豊富なコンテンツ力を生かすには、案件ごとに最適な相手と幅広く組んだ方がよい」


そのスタンスは、TBSが11月に始めるネットによる番組配信でも変わらない。コンテンツ配信やネット接続会社に幅広く配信業務を委託する方が、収益機会が増えるためだ。


統合の是非巡る反論材料にも


TBSはほかにも、DVD販売では、楽天の社外取締役である増田宗昭社長率いるカルチュア・コンビニエンス・クラブと、携帯ネット関連ではイー・アクセスや三井物産とそれぞれ共同出資会社を立ち上げているほか、番組配信ではUSENとも組んでいる。


TBS幹部は打ち明ける。「楽天の経営統合提案書にある提携内容は新味に乏しい。番組配信やネット物販、ポイント制導入などは既に考えているし、楽天でなくてもできること」。こうなると多方面外交を旨とするTBSからすれば、経営統合を迫る楽天の姿勢はもともと相容れないもの、と見ることができる。


とはいえ、楽天が正式に経営統合を提案した以上、TBSは改めて真剣に検討しなくてはならない。その際には、統合で事業面でのシナジーが本当に出るのか。そして株主価値が高まるのかの2つが焦点となる。統合に消極的なTBSにとっては、今年に入り多方面の企業と矢継ぎ早に打ち出しているネット関連の新サービスが、反論する強力な材料になり得る。


対する楽天は、「まだ提案書は概論」(幹部)として、統合のより具体的なアクションプランを準備中だ。


統合の是非を巡り、楽天とTBSにとって好ましくないのは、互いの主張が「付け焼き刃」と株主に取られること。深い内容の議論にするには、楽天が、TBSの思いもつかないような独自性と新規性のある提案をすることが欠かせない。(宮東 治彦、大豆生田 祟志)

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