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日本人の4人に1人が“機能性胃腸症” (05/09/29)

2005年09月26日

 人が生きていくのに当然必要な「食」。食をコントロールする重要な器官は言うまでもなく胃腸だ。しかし、実は、胃腸は“第二の脳”といってもよいほど、脳と密接なかかわりがあることを知らない人は多いのではないだろうか。



 この関係は、「脳・腸相関」と呼ばれている。脳の中枢神経系と、腸管の神経とは、自律神経を介して密接に関連しているため、心理的な変化が胃腸にも影響を及ぼす可能性が高いという。暴飲暴食よりも精神的なストレスの方が、胃腸に大きなダメージを与えると主張する専門家もいるほどだ。



 ストレスによって自律神経の働きが活発になると、胃酸の分泌が盛んになり、その結果、胃や十二指腸に潰瘍ができやすくなることは、一般にもよく知られている。



 ところが最近、胃潰瘍や十二指腸潰瘍だけではなく、「どうも胃がもたれる」「腹痛がおさまらない」といった症状があるにもかかわらず、色々な検査をしても異常が見つからない「機能性胃腸症」という病気が増えているという。



検査をしても異常がないのが特徴



 機能性胃腸症は、特に先進国で患者が多く、10年ほど前に行われた大規模な疫学調査では、日本人で4人に1人という高い発症頻度が明らかになった。機能性胃腸症の生じる原因はまだはっきりとは分かっていないが、胃潰瘍などと同様に、ストレスが重要な役割を果たしているとみられている。



 国立病院機構さいがた病院院長の松枝啓氏は、8月に東京都で開催された市民フォーラムで、「がんなどのように目にみえる形で生じる病気ではなく、器官の“機能”に問題が生じる機能性胃腸症などの病気が急増している」と指摘した。



 この背景には、現代がストレスの多い社会であることに加え、生活の近代化が進んで経済的・時間的な余裕が生まれ、自分の体の異常を気にしやすくなったことも関係しているそうだ。



 ただ、このような機能性胃腸症をもたらす環境自体を変えることは難しい。そこで、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉細菌を増やす「プロバイオティクス」を上手に活用し、腸内環境を内側から整えて症状を和らげようという試みが注目されている。



発酵食品で胃腸の不調を予防





 プロバイオティクスとは聞き覚えのない名前かもしれないが、われわれが簡単に入手できる製品でいえば、乳酸菌飲料やヨーグルト、漬け物などといった「発酵食品」のこと。



 中でも、松枝氏が勧めていたのが、既に特定保健用食品として発売されている、プロピオン酸菌による乳清発酵物。善玉細菌の一つ、ビフィズス菌のみを効率的に増やす作用があるという。



 プロバイオティクスはそもそも、「抗生物質(英語ではアンチバイオティクス)」に対比されて出てきた言葉。腸内細菌のバランスを改善する有益な微生物やそれを含む食品、などと定義されている。最近は、オリゴ糖や水溶性食物繊維など、善玉細菌の増殖を促す物質のことを「プレバイオティクス」と呼んで区別することもあるようだ。



 10月に神戸市で開催される大規模な消化器関連の医学会では、名古屋市立大学臨床病態内科学の神谷武氏らが、動物実験の結果、プロバイオティクスによって、自律神経の過剰な働きが抑えられ、機能性胃腸症が改善すると発表する予定。医師の間でも、こうした食品に関する注目が高まっているようだ。



(小又 理恵子=健康サイト編集)



イラストレーション/川崎のりこ(PLUM GRAFIX



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