糖尿病治すなら“塀の中”!? (05/09/15)
日本人の糖尿病患者の大多数を占める2型糖尿病。生活習慣の改善で血糖値をコントロールすることが大事だとわかってはいても、現実にそれを実行することはなかなか難しい。
しかし、いやおうなしに健康的な生活を送らざるを得ない場所もある。それは刑務所だ。服役中に2型糖尿病患者の血糖値が著明に改善したというユニークな研究成果が、今年8月に秋田市で開催された第46回日本人間ドック学会学術大会で発表された。
福島刑務所医務課の日向正光氏らは、1998〜2004年に同刑務所に服役した男性の2型糖尿病受刑者109人について、医療記録を元に経過を追跡した。すると、空腹時血糖の平均値は、入所時184mg/dLだったものが出所前には113mg/dLに、またヘモグロビンA1cは入所時の8.4%が出所前は5.9%に、いずれも明らか(0.1%有意)に低下していた。ちなみに、受刑者の平均年齢は51歳で平均入所期間は17カ月。
この結果、インスリンで治療していた17人のうち5人が注射をやめることができた。経口血糖治療薬で治療していた34人についても、17人が服薬を中止できたという。
禁酒・禁煙はもちろん、規則正しい刑務所での生活が、血糖値の良好なコントロールにつながったことは容易に想像できる。体重やBMIの平均値も、やはり0.1%で有意に減少している。
しかし、発表した日向氏は、受刑者の栄養摂取量が日本人の平均と同等以上であることや、運動量がそれほど多くはないことから、何か別の要因もあるのではないかと検討した。
そして思い当たったのが、刑務所の主食が、今どき珍しい“麦飯”であることだ。米7麦3のご飯を毎日食べることで、食物繊維、とりわけ水溶性の食物繊維の摂取量が多くなり、糖代謝の改善につながったのではないかと考えた。日向氏によれば、受刑者は平均的日本人男性の2倍の食物繊維を摂取し、水溶性食物繊維に至っては、5倍も取っているという。
日向氏は、「規則正しい生活習慣と麦飯などの高食物繊維食で、十分な糖尿病の治療効果がもたらされる可能性がある」として発表を締めくくった。これに対し座長は、「おもしろい研究だと思うが、難治性の糖尿病患者みんなに刑務所に入ってもらうわけにもいかない」と評し、会場からは笑いが起きていた。
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