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動悸や息切れに「柴胡加竜骨牡蠣湯」

2005年09月09日

 若い頃は、素敵な異性を目の前にして胸をときめかせ、心臓がドキドキと高鳴るのを感じたビジネスパーソンの中には、今や心臓がドキドキすると、狭心症ではないか、もしや重い心筋梗塞ではないかと不安になる人もいるかもしれない。



 心臓がドキドキ打つのを感じる状態を「動悸(どうき)」、あるいは「心悸亢進(しんきこうしん)」と呼ぶ。心臓病以外にも、精神的な要因や、甲状腺機能亢進、不安、緊張、興奮など、さまざまな原因によって起こる。そのためにも詳しい検査を受ける必要があり、原因が分かればその治療を受けることになる。



 しかし、中には動悸や心臓の痛みがあるのに、心電図などの検査では異常が見当たらないことがある。代表的なのは「心臓神経症」である。この病気は、心臓自体には異常がないのに、胸の痛みや動悸、息切れなどを繰り返すもので、不安や緊張などの精神的なストレスが原因だと考えられている。



肥満気味な中年以降の男性に使用



 中国の古い医書には「虚労により心気が不足すると動悸が起こる」と書いてある。このため、漢方では気の高ぶりとうっ滞、また、水の停滞によって心臓の不調が起こると考え、それに応じた薬を選んでいく。



 よく使われるのは「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」、「桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」、「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」などである。



 柴胡加竜骨牡蠣湯は、体格が中等度かそれ以上で、肥満気味な中年以降の男性の心悸亢進に使われる。この薬に含まれている「竜骨」と「牡蠣」には鎮静作用があると考えられている。



 桂枝加竜骨牡蠣湯は、体力が弱く疲れやすく、興奮したりのぼせたりしやすいタイプの人の動悸に用いられる。黄連解毒湯は、比較的体力がある人で、のぼせなど気が高まっている傾向にあり、イライラ、不眠を伴う動悸がある場合に使う。



 苓桂朮甘湯は、腰が冷え尿が水のように薄く、多尿である人を対象とする。半夏厚朴湯は、心悸亢進と呼吸促進が発作的に起こり、心配や不安が非常に強い場合に使われる。



 動悸と一口に言っても、漢方医学では、それを個人の体格などによってさまざまなタイプに分け、その人に合った治療を考えていく。



(天野 宏=医療ジャーナリスト)





イラストレーション/川崎のりこ(PLUM GRAFIX



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