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CM飛ばし対策協議へ、DVDレコーダー普及で広告主協

2005年9月6日

録りだめたテレビ番組のCM(コマーシャル)を飛ばして見る「CM飛ばし」。この問題で、日本広告主協会(理事長・西室泰三東芝相談役)がこのほど、日本民間放送連盟(民放連)と日本広告業協会に対し、10月をめどに協議会の共同設置を提案したことが、日経ビジネスの取材で明らかになった。HDD(ハードディスクドライブ)内蔵のDVDレコーダーが急速に普及するのに伴い、看過できなくなったためだ。


過半数は80%以上スキップ


「自分の見たい番組を好きな時に、見たいところだけ見る。消費者のこうした流れは今後、ますます加速するだろう」。キヤノン販売の永田圭司常務は、CM飛ばし問題について、こう話す。


永田氏は日本広告主協会で、テレビCMを担当する電波委員長という立場。せっかくCMを作っても、見てもらえなければ販促効果はない。永田氏は協議会設置の狙いについて、「どのようなCMなら見てくれるのか。テレビ局や広告会社などとともに検討すべきと判断した」と説明する。


火がつくきっかけは、野村総合研究所が5月末に出したリポートだった。「DVDレコーダーを持つ人の過半数は80%以上CMをスキップしており、広告主の損失総額は540億円に上る」というもの。


すかさず反応したのは電通と民放である。広告主の信頼低下や広告料金の見直しにつながりかねないためだ。


野村総研は、日本の年間テレビ広告費約2兆円のうち、調査で出たCM飛ばし比率を掛けて540億円と弾いた。だが実際の日本のテレビ広告料金は録画でなく、リアルタイムに見ている視聴率のみをベースに算定している。電通などは「2兆円の広告費から出すのは誤りで、広告主に損失はない。しかも、海外ではDVDレコーダーの導入後はむしろテレビを見る時間が増えている」(奥律哉メディア・コンテンツ計画局開発部長)と火消しに回った。


野村総研で調査を担当した情報・通信コンサルティング一部長の吉川尚宏氏は、「(540億円)はあくまで損失額の目安。今後もこの動きは広がる」と見方は変えていないが、「2兆円のテレビ広告費から計算したのは適当ではなかったかもしれない」と、一歩引き下がった格好。問題は沈静化したかに見えた。


新しいCMの在り方を検討


そんな中で、広告主側は問題をより深刻に捉えていたようだ。DVDレコーダーの普及率は現在15%程度だが、今後、低価格化で普及に弾みがつくのは間違いない。一度に大量の人が見る地上波テレビの優位性は揺らがないものの、デジタル化や技術革新により、消費者のメディアとの接触の仕方も大きく変わり得る。今のうちから3者で検討した方がよい、との判断だ。


広告主協会によれば、飛ばされない価値のあるCMを作る、15秒のスポットCMだけでなく1分、2分の長いCMを増やす、テレビ局と組んで番組内に織り込む新しいCMを模索する、などの協議を期待しているという。


提案を受けた広告業協会は「前向きに話し合うことは重要だが、形態は未定」(大畠邦彦専務理事)。同じく民放連は「詳細は聞いていない」(会長室)と慎重だが、新しいCMの在り方の模索は避けて通れないとの見方が多い。


日本で民間放送が始まった8月28日を民放連は「テレビCMの日」と定め、テレビで広告の良さをアピールする「CMの広告」を実施した。


良質で新しいCMの制作により、CM飛ばしは防げるのか。あるいはDVDレコーダー普及でさらに広がるのか。


DVDレコーダーの販売に力を入れる東芝が広告主協会の理事長職を務める時に、この問題を話し合う協議会が設置されるのは、皮肉な巡り合わせと言えるかもしれない。(宮東 治彦)

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